イメージ写真

2012年は9万戸台を回復するも、いまだ市場規模は低水準のまま

2月21日、不動産経済研究所から「2012年全国マンション市場動向」が発表されました。それによると、2012年1年間に全国で発売された新築マンションは9万3861戸となり、3年連続で前年比を上回る結果となりました。

しかし、振り返れば2007年以前は毎年10万戸超の発売戸数を維持していただけに、改めてリーマンショック(08年9月)による金融危機の脅威を思い知らされるとともに、いまだ市場規模が低水準のままで回復途上にあることが分かります(図表1)。

新築マンション発売戸数の推移

 

東日本大震災の爪あとは癒(い)えたとはいえ、新築マンション市場にかつてのような賑わいが戻るかは不透明です。人口減少や高齢化の進展といった構造的な問題に加え、所得・雇用環境の改善が見込めず将来不安が残る中で、誰も彼もがマンションを買おうという機運はそう簡単には醸成されません。当然、マンション分譲業者も販売計画には慎重にならざるを得ません。建てたら黙っていても売れる“栄光の時代”は過去の記憶となりつつあります。

そうしたなか、「2012年全国マンション市場動向」と合わせて事業主別の発売戸数ランキングも発表されました(図表2)。2012年は「プラウド」ブランドを武器に、野村不動産が初のナンバーワンを射止めました。また、近畿圏を中心にマンション分譲を展開する日本エスリードが2005年以来のランクイン(返り咲き)です。その一方、かつてナンバーワンの地位を欲しいままにしていた大京は第6位に転落です。業界の勢力図にも変化の兆しが見られます。一体、ランキングの浮沈を左右する要因は何なのか、以下、独自分析してみます。
 

価格設定の妙味を武器に、野村ブランドを打ち出して郊外マーケットを一網打尽 

市場環境が視界不良ななか、野村不動産がトップになれた理由は何なのか?―― 考えられる勝因としては、ターゲット層の拡大が挙げられます。リーマンショック以降、メーンバンクが融資態度を硬化させたことで、中小のマンションデベロッパーはドミノ倒しの勢いで経営破綻し、市場から撤退していきました。そのため、郊外部では中小デベが得意とする一次取得者向けの低価格マンションが品薄となり、空白地帯が発生していました。

そこに目をつけたのが野村不動産です。同社は2011年8月、郊外マーケットへの本格進出を目的に新ブランド「OHANA(オハナ)」を立ち上げました。上質な住まいを魅力的な価格で提供できるよう、2000万円~3000万円台を中心価格帯に据え、向こう3年間で1000戸供給する販売計画を打ち立てました。

もともとライバル物件が僅少なエリアに、価格設定の妙味を武器にして野村ブランドを全面に打ち出せば、自社物件が売れないはずはありません。完売記録は更新の一途です。こうして新たな顧客を開拓・獲得し、次なる新規発売へとつなげていきました。この積み重ねが全国トップの座を射止める勝因になっています。

2012年事業主別発売戸数ランキング

 

次ページでは、2011年以前の発売戸数ランキングを見てみましょう。