マンション購入術/マンション購入関連情報

事業主別マンション発売ランキング その今と昔(2ページ目)

2月21日、不動産経済研究所から2012年の事業主別マンション発売戸数ランキングが発表されました。同年は野村不動産が全国トップとなり、躍進ぶりが目立ちました。ただ、意外にも野村不が第一位になるのは今回が初めてです。そこで、その勝因を探るとともに、事業主別ランキングの浮沈から業界勢力図の変化を読み解きます。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


2011年は三菱地所と藤和不動産が統合し、全国トップの座を獲得する 

ザ・パークハウス新宿御苑西

発売ランキングの変化が業界勢力図の変化を投影する。

事業主別の発売戸数ランキング ―― 2011年の特徴は三菱地所レジデンスが初の全国トップに踊り出たことです。三菱地所レジデンスは、三菱地所の子会社である三菱地所リアルエステートサービスの住宅分譲事業と、100%出資子会社の藤和不動産が2011年1月に統合して誕生した会社です。両者が統合したことで、2011年は発売戸数がいっきに増えました(図表3)

かねてから藤和不動産はUFJ銀行(当時)など主要取引行に対して金融支援を要請するなど、2002年当時から財務基盤が弱体化していました。そこで、2003年に第三者割当増資を引き受けて三菱地所が筆頭株主となり、さらに、2009年4月には株式交換によって藤和不動産は完全子会社化されました。

都心に強い三菱地所と郊外が得意な藤和不動産が、一定のすみ分けをしながら部資材の共同調達など、効率化を図れるところは協力し合い、お互いのシナジー効果を高めていきました。1億円超の高額マンションから手ごろな価格帯のマンションまで、対象顧客のすそ野を広げることで、販売を安定化させたい考えです。残念ながら、2012年は第3位に転落してしまいましたが、一定の存在感を示しているのは間違いありません。「ザ・パークハウス」の躍進は今後も続きます。

2011年事業主別発売戸数ランキング

 

一進一退の新築マンション市場  デベロッパーには「次の一手」が求められる 

2010年以前のランキングはスペースの関係もあり、上位10社のみを3年ごとに区分けして掲示してみました(図表4・5)。ライオンズマンションの大京と、2009年11月に東京地裁へ会社法の適用を申請した穴吹工務店が健闘している様子が見て取れます。

偶然のいたずらなのでしょうか、トップの地位を欲しいままにしていた大京は2010年5月、経営再建中の穴吹工務店と業務提携することを発表しています。それぞれが有する事業ノウハウや情報提供を通じた事業展開の可能性を広げるのが狙いです。また、請負工事など業務の紹介も行なうといいます。“昨日の敵は今日の友”と言うわけです。その穴吹工務店も2012年は第15位に返り咲きました。堂々TOP20へランクインです。

発売戸数ランキング08年~10年

 

発売戸数ランキング05年~07年

 

2013年以降は消費税増税に伴う駆け込み需要が顕現化することで、新築マンション市場も一定の賑わいは取り戻すでしょう。しかし、かねてから指摘されているように、需要の先食いによる反動減が住宅市場を冷やす懸念があります。一進一退では不動産市場の本格回復は期待できません。

消費者ニーズの開拓による需要創出や経営統合による企業体力の強化など、サバイバル時代を生き抜く分譲マンション業者には“次の一手”が求められます。独自の将来ビジョンを明確に描き、生き残りを掛けた事業戦略が打ち立てられるかが企業の存亡を二分します。


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