さて、もう一点、感心してしまったことがある。


↑椅子の後ろから照明を当ててみると、ダンボールの波形(フルート)の隙間から、‘ソレ’が見えてくる!


椅子本体に300mmピッチで横棒(スチール棒)が仕込まれているのである。
これは、人が荷重を加えた時(椅子に座って、背の左右後方に身体を預けた時)に発生する“ねじれ”を防ぎ、強度を増す為のものである。
単なるダンボールを積層して造ているのではなく、実は目に見えないところで(いや、見えないようにデザイン工夫しているのだが・・・)構造、強度上の問題を解決したディテールがそこにある。

椅子の裏側には、ヴィトラ・デザイン・ミュージアのタグが表示されている→



脚の裏といい、本体の中といい、余計なモノ(構造上には大変重要なもの!)を一切見せない(表に出さない)・・・一見、誰にでも作れそうなダンボールの椅子だが、まさに徹頭徹尾なデザインポリシーが秘められているのである。

そのコトは、『能ある鷹は・・・・・』という諺があるが、安価な素材;ダンボールを用いたこの椅子に上質の雰囲気が所以でもあろう。


建築家:Frank O.Gehry/フランク・O・ゲーリー氏の緻密な計算の元にデザインされた椅子なのである。

そして、この椅子は、ゲーリー氏をファニチャーデザイナーではなく、建築家として導くことになっていく。

さて、そのお話は次回、ダンボールシリーズ第2弾:SIDE Chairでご紹介しよう。

■UP#019
Wiggle Side Chair/ウィグル・サイドチェアー

・1972製作/米国
・SIze  :W 425 D 600 H 850/SH 470
・Material:段ボール、硬質繊維板、丸木材 
・Designer:Frank O.Gehry/フランク・O・ゲーリー
・Product :Vitra Design Museum/Germany
・Shop  :hhstyle.com
・Price  :¥123.000-







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