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| 第2回:「ファニチャー」ガイド 石川 尚 |
2003年11月19日
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| 「All About」を支える約270名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しい審査を何度も通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは?All Aboutを通して発信したいこととは何なのか?このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。 |
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| Photo by Hideo Matsumura |
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| 好評だった第1回「パン」ガイド清水さんのインタビューに引き続き、第2回は、インテリアデザイナーでもある「ファニチャー」ガイド・石川尚さんを取材しました。デザイナーズ家具がブームになり、インテリアへの関心が高まっていますが、デザイナーである石川さんにとってのファニチャーとは?インテリアとは?に迫ります。 |
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| 人は1時間も同じ格好で座っていられない |
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| だから僕がデザインする椅子は“お行儀が悪い” |
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- 森川:
- インテリアデザイナーって素敵なお仕事ですね。石川さんはどういう経緯でその道に入られたんですか?
- 石川:
- 大学が「室内建築学科」だったんです。日本に一つしかない学科で、室内建築という視点から建築を学んだわけです。その時に家具に興味を持ちまして、ハウジングメーカーに就職したんですが、どうしても家具そのものがやりたくて独立しました。
- 森川:
- 室内建築と言うと、空間デザイン的な勉強をされるわけですか?
- 石川:
- そうですね。大学で学んだ“空間”という発想がベースにあることが、今の仕事にもだいぶ影響しているんですよ。テーブルや椅子のデザインを考える時も、それがどんな空間でどんな人に使われるのか、建築のことがわかっていないとできないのがインテリアデザインですからね。
- 森川:
- 昔は日本の住宅にはあまり個性的なものがありませんでしたが、最近は建築家が自分のライフスタイルに合わせて設計してくれる家というのが人気ですよね。インテリアにもこだわる人が増えていますが…。
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- 石川:
- 素晴らしいことですよ。でも家をオリジナルで作るなら、その家や自分のライフスタイルに合ったインテリアをオリジナルで作ることだって普通の発想ですよね。
- 森川:
- 確かに。家を建てるときにインテリアもトータルでオーダーするのは当然と言えば当然の発想ですね。そう言えば、私も引越した時に思い通りの家具を探すのに何年もかかりました。テーブルもソファも椅子も。
- 石川:
- 森川さんのダイニングの椅子はみんな同じものですか?
- 森川:
- う〜ん、違いますね。おそろいで買ったんですが、座り心地がよくなくて使わなくなったものもあります。
- 石川:
- それが普通ですよ。座った時のフィット感、体に合うかどうか、その人がその椅子で寛げるかどうか、サイズ・素材などすべてのディテールがその椅子の価値になるわけです。僕にとっては、家族が5人いたら、5人が同じ椅子に座っているなんてありえないことですよ。余談ですが、僕がデザインする椅子は“お行儀が悪い椅子”なんです。人は1時間も同じ格好で座っていられないじゃないですか?片足をあげてみたり、足を組んでみたり。だからどの椅子も座面が広いのが特徴なんですよ。
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| おじいちゃんのロレックスのように |
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| 家具も世代を渡って伝えられるものであってほしい |
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- 森川:
- 石川さんはファニチャーという世界の中でも、特に椅子に思い入れが強いようですが(For M連載「ストーリーのある椅子たち」)、椅子にはまた特別な魅力があるんですか?
- 石川:
- 椅子っていうのは“建築の凝縮”だと思うんですよ。歴史、構造、スタイル、機能、素材…いろいろな要素が椅子には全部入っている。それにちょっとした思い出がありましてね…。
- 森川:
- 思い出?ぜひ聞かせてください。
- 石川:
- 数年前に焼き鳥屋で僕たち夫婦と、ドイツ人・ベルギー人のご夫婦とがたまたま相席になったんですよ。日本語のメニューが読めず、もつ煮を注文して食べられなくて困っていたので、こちらから声をかけたのがキッカケで仲良くなって…。ご主人は地質学者で世界中を転々としている人で、奥さんは某外資系の証券会社で働いていて、休みの日に4人で遊びに行ったりするようにまでなったんです。ところが、あとで知ったのですが、実は奥さんは会社の社宅のようなマンションのコーディネーションをする仕事をしていたようなんです。
- 森川:
- 石川さんとちょっと近いお仕事ですね?
- 石川:
- そうなんですよ。それである日、うちの奥さんに彼女から電話がかかってきたんです。その会話おもしろいんですよ。突然、彼女が「ヒサシは高いか?」と聞いてきたらしく、うちの奥さん「それなりに」って答えたらしいんですよ。さすが、女同士の会話だなぁと思いましたね。結局、僕は彼女の会社から社宅の25部屋のインテリアデザインを任されたわけです。
- 森川:
- 焼き鳥屋での出会いが思わぬ方向に発展しちゃったって感じですね。
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- 石川:
- ところが、ご主人がメキシコへ転勤ということで二人が引越すことになったんです。その時に、彼が僕に一つの椅子を見せて「この椅子をもっていてくれないか?」と言うんです。ずっと大事にしていた、おじいちゃんの椅子だそうです。そんな大切なものはもらえないって言ったんですけど、「椅子が好きなヒサシに記念にもっていてほしい」と言われて。
- 森川:
- おじいちゃんの椅子ですか。ロレックスみたいですね。
- 石川:
- そう、ヨーロッパではそうやって家具も世代を渡って使われていったりするんですよ。日本にはなかなかないですよね。この話にはまだまだ続きがあってね、彼らが引越してしばらくたってから、家で掃除をしていた時、初めて気づいたんですよ、座面の裏に僕たち夫婦へのメッセージが書いてあったことを。英語と覚えたての日本語で。これを見たときには感動しましたね。二人で呆然・涙・涙でした。
- 森川:
- 石川さん夫妻に対するお礼のメッセージですね。なんだか私まで感動してきた…。
- 石川:
- おじいちゃんから受け継いだ大事な椅子ですよ。大事にしているものだからこそ、こういうメッセージを残して僕らに託してくれた。こんなに嬉しいことはないですよ。その時、ファニチャーって愛情をもって育む家族のようなものなんだなぁと実感しましたね。
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| 石川流 失敗しないファニチャーの選び方 |
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| 本当に自分に合った家の建て方 |
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- 森川:
- ところで、最近テレビなどでもリフォームや建築関係の番組が増えていますが、作る側からちょっとアドバイスをいただきたいのですが。現場にいて、依頼する側がもっとこうだったら、いい家になるのに…というふうに感じられることってありますか?
- 石川:
- 最近はみなさん、本当によく勉強していらっしゃいますね。自分がどういう生活をしたいか、どんな家にしたいか、願望がはっきりしている。素晴らしいことです。ただ一つアドバイスをさせていただくと「好き嫌いで選べ」ってことでしょうか。インスピレーションですよ。好きか、嫌いか。情報が非常に多い分、今度はそれをどう自分のものにしていくのかが重要になってくる。その時には「好き嫌い」が大事なわけですよね。
- 森川:
- でも好き嫌いは夫婦間でも違うし、まとめるのは大変そうですね。
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- 石川:
- そう。ただ、これをあいまいにしたままにして進めると必ず後からもめますよ。依頼主のご夫婦でも意見が食い違うことはよくありますが、好き嫌いはどうにもならない問題ですから、はっきり言ったほうがいい。
- 森川:
- もう一つ、私はなかなか気に入った椅子とテーブルに出会えなくて苦労したのですが、家具を選ぶ時にいいアドバイスはありますか?
- 石川:
- 家具も一緒ですよ。好き嫌いをはっきり持つ事です。あと、基本的なことですが、インテリアショップで実際に触って、座ってから選ぶことですね。あ、靴は必ず脱がないとダメですよ。家でもハイヒールを履いているなら別ですけどね(笑)。
- 森川:
- お話を伺っていると、私も早く家族のように愛せる家具に出会えるようになりたいなぁと思いますね。でもそのためには自分自身をもっと確立しないとだめかな。好き嫌いがはっきり言えるように、まずは石川さんのサイトで石川さんが選んだいいものに触れてみます。ありがとうございました!
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