学生の頃、学校の研究室に印象的なスツールが2脚あった。

当時、課題で椅子のデザインをしていたボクは、素材(木材)構成&構造をデザインのテーマにしていた。
材料を複雑に組み合せ、その構成美を求めて七転八倒のある日・・・大学の研究室で目に入ったのが、このスツール(背も肘掛けもない台のような椅子)『Stool E60』であった。

←厚さ28mm、直径350mmの丸い‘まな板’が座面・・・丸く、木口(断面部分)をストン!と太刀落としたディテールは、座面の木目(板目)の綺麗さを際立たせている。



そのスツールは、ストレートに立ち上がった脚の上に丸いまな板(?)をチョコんと置いたようなカタチで・・・とても単純でエレガントな存在が眩しかった。


薄くスライスした木板を積層し、曲げ加工した脚の根元・・・このキュッ!とした曲げには緊張感があり、素材とデザイン(形状と構造と技術)のポイントである。→


単純な中にも変化と言うか、‘動き’のある部分が、キュッ!と曲がって座面を支持している‘脚の根元’・・・このキュッ!が好きだ。
現在、木材を曲げることは普通にある技術だが、このスツール製作当時は試行試作の連続だったであろう。


このスツールは、フィンランドの建築家、Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)氏によって1930年代前半にデザインされた。
1930年代と言うと近代デザイン・・・建築、インテリア、ファニチァー、インダストリアル、プロダクト、ファション、グラフィック等、ありとあらゆるジャンルのデザイン・・・のビートルズ的存在のバウハウスが一世風靡した時代である。
その象徴的素材はスチールやガラス等であったが、アアルトが生んだ建築やファニチャー達は、(バウハウスのソレに対して)スカンジナビア特有の金褐色の木の温もりであった。(構成原理はスチールと同様・・・)