ジャイアンはなぜ仲間に暴力をふるうのか?
暴力をふるう子の背景にある「親のしつけ」
ジャイアンの暴力のルーツは、お母さんのしつけにあります。お母さんは、息子が店番をさぼったり、周りの子をいじめたりすると、暴力を使って折檻します。ジャイアンは、母親に叩かれると、震え上がってすぐにその行動をやめます。「弱い者に言うことを聞かせるには、結局は体罰がいちばん」という効果を、身を持って知っているのです。
暴力をモデリングした「パワハラ」上司たち
パワハラは「精神的暴力」で部下を追い込む
パワハラを行う教師や上司には、その生育過程、成長過程に何らかの暴力が関わっている可能性があります。自分自身が親に叩かれて育ってきた。教師が生徒を怒鳴って指導する場面を見てきた。上司が、暴言を吐きながら部下たちを従わせ、優越感を楽しむのを見てきた。こんな経験をモデリングすると、「指導は結局、暴力がいちばん効く」「偉くなったら、暴力で優越感を楽しめる」と覚えてしまうことが少なくありません。
社会人になると、さすがに身体的暴力を使った指導をしていると、立場的に不利になることが多いため、パワハラは巧妙な手口で行われます。怒鳴りつけて驚かせたり、机を叩いて威圧したり、ひどく傷つけることを言ったりする精神的暴力が、パワハラの常套手段になります。こうした精神的暴力なら証拠が残りにくく、「イライラしてつい机を叩いただけ」「口が悪いだけ」などと言い逃れをしやすいのです。とはいえ、言い訳はどうあれ、もちろんこうした精神的な暴力も、典型的なパワハラと判断されます。