リーダーシップ/リーダーシップ活用事例

ヘンリー・ミンツバーグ氏の実践型リーダーシップ

先の2月14日、巷ではバレンタインデーでしたが、浮かれた気分を押さえつつ、自己研鑽のため、終日ワークショップに参加しました。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

先の2月14日、巷ではバレンタインデーでしたが、浮かれた気分を押さえつつ、自己研鑽のため、終日ワークショップに参加しました。

マイケル・ポーターと並び称される右の横綱

2013/2/14、ヘンリー・ミンツバーグ氏とともに。

2013/2/14、ヘンリー・ミンツバーグ氏とともに。

ワークショップのファシリテーターであるヘンリー・ミンツバーグ氏はマイケル・ポーター氏と並び称される経営学者です。

ポーター氏は1980年代「競争優位の戦略」で一躍有名になった方です。ビジネススクール等で利用される、戦略を考える際のフレームワーク(思考の枠組み)を開発した功績は卓越しています。事象を要素還元的に分析するアプローチを得意としています。言わば、左脳的なアプローチで、再現性の知、つまり、サイエンスの世界です。

一方のミンツバーグ氏はワークショップでもポーター氏をかなり意識され引用されていましたが、対極的なアプローチで、全体思考であり、洞察するアプローチを得意としています。言わば、右脳的なアプローチで、一回性の知、つまり、アートの世界です。

つまり、フレームワーク主義ではなく、アナログ的な考え方です。中でも印象的だったことは人材=human reourcesと捉えることには懐疑的で、人間=human beingsと捉えていました。

この方はカナダ人ですが、アメリカ型の合理的な経営手法やトップダウンの意思決定に疑問を唱え、日本企業が重んずる人間思考のマネジメントを評価されていることが印象的で、バブル前の最も輝いていた1980年代の日本企業を理想モデルと訴えていました。

コミュニティシップ・モデル

ミンツバーグ氏はコミュニティシップ・モデルを提唱しています。共同体、即ち、強力な企業文化を持つことの重要性を説いています。確かに成長期であった80年代までの日本は良きにつけ悪しきにつけ帰属意識や会社への忠誠心、会社適合感を強く持っていたことは事実です。嘗て、日本企業では「運命共同体」、「滅私奉公」という言葉は溢れかえっていました。

そのベースとなるのが人間志向のマネジメントです。人間第一主義であり、人を大切する文化です。従業員を解雇しないというのもその表れでしょう。確かに一昔前までは、大企業で解雇することがあれば社会問題として取り上げられた位です。以前のコダック社やパイオニア社での解雇は新聞記事として大きく取り上げられていました。
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