日本の伝統美「和金」

ひとくちに和金といっても、ホームセンターや屋台の金魚すくいで多く見られ、大量に生産されている「フナ尾、素赤の和金」から、生産者や愛好家の方が心血を注いで繁殖、飼育を行い、体色も体型も見事な「三つ尾、または四つ尾の更紗(赤と白)和金」まで、まさにピンからキリまであります。今回は、金魚飼育者にとって最も身近な品種でありながら、非常に奥深い品種でもある日本の伝統美ともいうべき「和金」についてご紹介します。
品評会で入賞した見事な和金

品評会で入賞した見事な和金
 

美しさと強さを兼ね備えた和金

和金は、金魚の中でルーツであるフナに最も近くフナ同様の形をしているため、動きが俊敏で生命力も抜群に強く、全ての金魚の品種の中で一番丈夫な種類であるといえます。きちんと飼育すれば、10年以上にわたり飼育者を楽しませてくれるでしょう。金魚の長寿ギネス記録は43年ですが、この金魚も和金型の金魚だったようです。

大量に流通しているフナ尾以外にも、三つ尾、四つ尾のタイプがあり、観賞上価値が高いとされているのは、美しい更紗(赤と白)の体色を持つ三つ尾、または四つ尾の個体です。


全ての金魚の原点種

中国の晋の時代(西暦265-419年)に、フナの突然変異である赤いフナ(緋鮒)が発見され、そのヒブナが全ての金魚の祖先となります。その後、ヒブナの持つフナ尾から、三つ尾や四つ尾のいわゆる開き尾を持つ個体が突然変異で現れ、それが和金の原型となりました。日本には室町時代中期の文亀2年(1502年)、大阪の堺に和金が伝来したとされ、現在ある金魚の品種は全て和金から派生した品種ですので、「和金」は全ての金魚の原点種ということが言えます。

何故中国から来たのに和金と呼ばれるのでしょうか? それは、江戸時代中期に琉金などの当時としては新しい品種が出回りだしたので、それらと区別するため古くから日本にいた金魚として「和金」と呼ばれたためです。近年では、日本人の美的感覚に沿って選別、繁殖が繰り返され、数は少ないですが、上質な日本の和金は、中国で生産される和金型の金魚とは異なり、日本独自の品種と言っても良いくらい洗練された金魚となっています。なかでも埼玉県にある平賀養魚場は、上質な更紗和金を多く生産していることで有名です。
深紅の体色を持つ素晴らしい更紗和金

深紅の体色を持つ素晴らしい更紗和金
 


和金の飼い方

前述の通り、和金は他の品種と比較して丈夫で、飼育上で特に注意すべきことはありません。しかし、和金は動きが俊敏で力強い品種ですので、他の品種と混泳させるのは避け、混泳させたい時は朱文金やコメットといった同じ和金型の品種にしたほうが良いでしょう。琉金やらんちゅう、オランダ獅子頭などの動きの遅く、ゆったり泳ぐ種類の金魚と一緒にすると、和金以外の種類の金魚がストレスに感じたり、与えた餌を和金が素早く食べ、和金以外の金魚に充分餌が行き届かないことも考えられます。また、大型化しやすい品種でもあるので、大きさに応じて出来る範囲で大きめの飼育槽で飼ってあげましょう。
模様が素晴らしい更紗和金

模様が素晴らしい更紗和金。中段とこの画像の個体は、以前購入し飼育していた個体ですが、ここまで深い赤色を持つ和金には、なかなか出会えません。和金の美しさを知って頂くために今回は、画像を大きくしました。

質の高い更紗和金は、最も「和」を感じさせてくれる品種であり、観賞価値も非常に高いものとなります。和金というと、他の品種と比べ軽視されがちですが、金魚屋さんで「三つ尾または、四つ尾の更紗和金」を是非探してみて下さい。きっと和金の美しさに魅了されるはずです。


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。