港区南麻布5丁目「有栖川」
外苑西通り「広尾橋」の信号を東へ進むと、まもなく道は左へ曲がっていく。道沿いのオープンカフェを覗けば、店内は外国人比率が圧倒しており、欧州の大使館が集まる土地柄を思わせる。左折するとすぐに「有栖川公園前」信号があらわれ、正面には都心とは思えない鬱蒼とした森が迫りくる。正式名称を「有栖川宮記念公園」という。江戸時代、藩主の屋敷だったものを大正に入って有栖川宮家が受け継いだ。その後、東京都(当時は東京市)に譲渡され現在に至る。約6.7haもの広大な緑は、庭園跡というよりも雑木林の趣きを漂わせ、さらに北に向かって上る地形の起伏が、実面積以上の影響力を一帯に及ぼしているのではないだろうかと思える。
高台の森の向こうにはテニスコートなどもあって、その周辺は高級マンションが立ち並ぶ。そして、その多くが建物名に「有栖川」を含んでいる。都内屈指の人気駅「広尾」でもなく、3A(スリーエー、青山・麻布・赤坂)のなかでもステイタスがあるといわれている住居表示「南麻布」や「元麻布」でもなく。稀有な自然こそが、どの他の邸宅街も持ち合わせていない、この地に備わる象徴なのであった。
ウェリス有栖川
さて、この度その有栖川の名を冠したマンションが久々に誕生した。NTT都市開発が手がける分譲マンション「ウェリス有栖川」。所在地は港区南麻布5丁目、交通アクセスは地下鉄日比谷線「広尾駅」から徒歩4分である。ちょうど外苑西通りと有栖川公園の中間に位置するロケーションだ。外苑西通りからは50mと離れていないが、隣接するマンション(ディアナガーデン広尾)が交通音を遮る格好となり、幹線道路の喧騒は届かない。高台には位置しないが、駅までのアプローチでアップダウンを避けたい人にとっては好都合だろう。
建物は地上5階建て総戸数57戸。清水建設が設計・施工の免震マンションである。資材の質のこだわり、外壁タイルやエントランス扉の面材などに、素材自体が持ち合わせる高級感で建物のコンセプトをあらわせるよう選び抜いたという。中央部の吹き抜けのあるホールでは、波打った天然石の上を滝が流れる。規模の割には印象的な共用部に仕上がりそうだ。築年の経った近隣物件との差異は、先進の構造と共用の質の2点に見い出せるかも知れない。