世界遺産/アジアの世界遺産

マラッカとジョージタウン/マレーシア(4ページ目)

一本の通りに並ぶ仏教、道教、キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教の寺院。ひと皿の料理に感じる中国、マレー、インドの香り。今回は海のシルクロードの要衝として、あるいは大航海時代の香辛料貿易の拠点として発展したマレーシアの世界遺産「マラッカとジョージタウン、マラッカ海峡の古都群」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ジョージタウンの世界遺産とその見所

ジョージタウンのタウンホール

ジョージタウンのタウンホール。パステルカラーとかわいらしいデザインがコロニアル式の特徴だ。隣には白亜のシティーホールがある

ジョージタウン、ヴィクトリア・メモリアル時計台

ヴィクトリア・メモリアル時計台

ジョージタウンは、街の北東、海に突き出した岬一帯が世界遺産に登録されている。通りでいえばラブ・レーン(Love LaneあるいはLrg. Cinta)、カルナボン通り(Lrg. Carnavon)、メラウ通り(Lbh. Melayu)に囲まれた地域がすべて登録地だ。こちらも見所を紹介しよう。

■コーンウォリス要塞とヴィクトリア・メモリアル時計台
1786年にペナン島がイギリスに割譲され、フランシス・ライトがはじめて上陸した地に建てられた要塞がコーンウォリスだ。この要塞はイギリス軍の駐屯地として機能した。時計台は1897年にヴィクトリア女王の即位60周年を記念して造られたもので、60フィート(約20m)の高さがある。

 

■各種公共施設群
ジョージタウン、シティホール

エドワード・バロック式の傑作シティホール

イギリスは要塞や時計台周辺に官公庁を建て、ここを中心に街を開発した。時計台近くにあるのがイミグレーションと州庁舎で、いずれも19世紀の建築。要塞の北にあるが1903年竣工のシティホールと、19世紀末に完成したタウンホール、そしてその先の建物が高等裁判所だ。

■セント・ジョージ教会、聖母被昇天大聖堂、ペナン博物館
フランシス・ライトが上陸とほぼ同時期に建てた聖堂が聖母被昇天大聖堂だ。ただし、現在の建物は1861年に建て替えられたもの。白大理石と白い尖塔が美しい教会は1818年に竣工したセント・ジョージ教会で、東南アジア最古の教会といわれている。その間にはペナン博物館があり、島の歴史を知ることができる。

 

■ペナン・プラナカン・マンション
ジョージタウン、ペナン・プラナカン・マンション

大商人の生活を垣間見ることのできるペナン・プラナカン・マンション

1894年に建てられたプラナカン建築の豪邸。チュン・ケン・キー氏の私邸だったものが博物館として公開されている。柱、窓、手すり等々に繊細な彫刻が施され、1,000点を超える豪華な調度品が部屋を飾っている。

■クアン・イン(観音寺)
寺の歴史はイギリス統治以前、1728年にまでさかのぼるが、現在の建物は1800年に造られた。ペナン最古の中国寺院で観音菩薩を祀っているが、願いごとをかなえる慈愛の女神として篤い信仰を集めている。

■マハ・マリアマン寺院
1883年建立のペナン最古のヒンドゥー寺院。入り口のゴープラム(門塔)に38の神像が彫り込まれているほか、内部も破壊シヴァと男性器の象徴であるリンガや、女性器を示すヨーニ、半人半象のガネーシャなど、多数の神像で彩られている。

 

■カピタン・クリン・モスク、アチェ・モスク
ジョージタウン、クー・コンシー

クー・コンシー。わかりにくい場所にあるが、ぜひ行ってほしい

カピタン・クリン・モスクは1801年に建てられたイスラム教のモスクで、インドでよく見られるタマネギ型ドームとミナレットが特徴だ。これらはムガール式で、三角屋根でスマトラ式のアチェ・モスクと違いを比べてみよう。

■クー・コンシー(邸公司)、各種公司
「公司」は中華系の人々が氏神を祀る霊廟で、一族はこの周囲に集まって生活した。一族が暮らす家々が城壁のように霊廟を取り囲んでおり、まるで要塞のよう。コンシーの中でも特に美しいのがクー・コンシーで、柱、屋根、梁、窓、祭壇、壁、天井……至るところに彫刻、絵画などの精緻な装飾が施されている。周囲にはヤップ・コンシー(叶公司)、リム・コンシー(林公司)、中国寺院等がある。

 

■クラン・ジェッティー(水上住宅群)
ジョージタウン、周氏の橋

周氏の橋。周囲の家々はすべて海上にある

中国系の人々の中には海に杭を打ち、その上に家を建てて暮らす一族もいた。一族は桟橋を中心に集まっていたため、中国語で「姓○橋」、つまり「○氏の橋」という形で残されている。水上には住宅はもちろん、お寺やお店、食堂まであるから驚きだ。

さて、マラッカとジョージタウンの名所を解説してきたが、どちらの街もこうした建物だけでなく、街そのものが世界遺産に登録されている。何気ない家の壁がとんでもなく絵になったりするので、ぜひふらふら迷い歩いてほしい。また、世界遺産登録地の外にも数多くの見所があるので、そちらもお忘れなく。
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