ドイツナチスから逃れたバウハウスデザイン……Marcel Breuer( マルセル・ブロイヤー):『Dining Chair』
マルセル・ブロイヤーは1902年ハンガリー生まれ、ウィーンでアートを学び、ドイツ、ワイマールのバウハウスに入学。ここで金工と家具デザインの才能を開花させた彼は、やがてバウハウスの教壇にたつことになる。おりしも独裁政治ドイツナチスの台頭が始まり、ドイツから逃れてロンドンに来ていたヴァルダー・グロピウス(バウハウスの創始者)と共にバウハウスの思想を信奉していた企業家のジャック・プリチャードが1935年に設立した家具メーカー:アイソコン(ISOKON)社のデザイナーとして参加。わずか2年間の間にプライウッドを用いた様々な家具をデザインした
超モダンでクールなドイツ・バウハウスデザインとは全く異なるヒューマンデザインをロンドンで試行したのは、そんな時代背景があったからだと言えよう。
1999年、アイソコン社がアイソコンプラス社として復活し、マルセル・ブロイヤーのプライウッドファニチャーなどが復刻生産されることになった。
……………金属パイプと革というバウハウスデザインが、安価で加工し易いプライウッドに移行した貴重なデザインの椅子である。
背面からも前面同様、すっきりとまとめている。座に貫通した背骨の納まりがいかにもマルセル・ブロイヤーのディテールである。ここでも足元と背の端部のアールが効いている。 (写真をクリックすると拡大されます。) |