マーケティング/マーケティング事例

ペニオクの波紋!ステマに騙されない防衛策とは?(2ページ目)

ペニーオークションを舞台とした芸能人を利用したステルスマーケティングが社会問題化しています。本来の価値を偽って消費者に攻撃を仕掛けるステルスマーケティングに防衛策はあるのでしょうか?解説していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

企業がステルスマーケティングを活用する理由とは?


ステルスマーケティング

企業がステルスマーケティングを活用する理由とは?

ステルスマーケティングとは、消費者を欺く場合もあり、隠していたことがばれれば、企業にとっては信頼の失墜につながる危険なマーケティングですが、なぜ多くの企業が活用するのでしょうか?

その理由としては、「長引く不況による売上不振」、「情報の洪水による自社製品の埋没」、「高い費用対効果」などが挙げられるでしょう。

今、企業にとって長引く不況により売上を上げにくい状況が続いています。そこで生き残るために背に腹は代えられないとして、顧客を少々欺いてでも売上を上げていこうという企業側の論理が反映されているのです。

ただ、情報化社会の現代では消費者は毎日多くの情報の洪水に晒されて、通常の広告では反応しにくくなっています。従来のプロモーションを展開しても、余程コストをかけた大々的なキャンペーンなどを実施しなければ、消費者は気付きもしないというのが現状でしょう。

そこで、影響力の大きい口コミサイトで虚偽の評判を流してランキングの上位を目指したり、芸能人のブログを利用したり、ステルスマーケティングに取り組むようになるのです。

口コミサイトの投稿は自社で行えば無料でできますし、芸能人のブログでのステルスマーケティングは報道によれば300万円程度から少ないものでは数万円程度と、テレビなどで芸能人を使ってプロモーションを展開する費用の数千万円から数億円に比べれば、圧倒的に低予算で実践でき、効果も非常に高いというメリットがあるのです。

企業にとっては、発覚した時に信頼を失うリスクも高いですが、売上には代えられないということで、一つの選択肢としてステルスマーケティングが選ばれているのが現状といえそうです。


ステルスマーケティングの攻撃を避ける消費者の防衛策とは?


それでは、消費者側からはステルスマーケティングの攻撃を回避するために、どのような防衛策があるのでしょうか?

重要なことは「一つの情報を鵜呑みにしない」、「感情だけでなく理性を働かせる」ということなのではないでしょうか。

一つの情報に基づいて行動すれば、その情報が誤った情報であれば大きな過ちにつながることもあります。

いくら信頼のおける人の発信した情報でも、誤った情報の可能性はゼロではありません。一つの情報を鵜呑みにするのではなく、様々な情報に基づいて自分なりに納得できる決断を下すことが重要です。

そのためには自分の価値観の軸をしっかりと持たなければいけません。

情報の中には確かに真実も多く含まれていますが、他人をコントロールしようという意図が隠された情報もたくさんあります。情報の真贋を見極める能力を養い、安易に人の意見に流されない自分を作り上げていかなければならないのです。

また、感情だけでなく意識的に理性を働かせて購入を決めることも重要です。

得てして、私達は感情に任せて購入を決定してしまうことがあります。衝動買いなどがその典型でしょう。

お得な商品があれば、周りが見えなくなり、その場で買わなければ誰かに買われてしまうという焦りが即断即決を決めさせる場合もあります。

アメリカの格言に「There is no such thing as a free lunch.」というものがあります。只で食べられるランチなどどこにもなく、もしあるとすればそのランチには必ず裏の目的があるということです。たとえば、そのランチをおごってもらったために、依頼を断ることができずに無理難題を受けざるを得なくなったということもあるでしょう。

いずれにしろ、うまい話には必ず何か裏があるということです。

ある商品が、市場価格よりも極端に安い価格で売られていれば、それはもしかしたら“訳あり”ということで箱が若干潰れたためかもしれないし、生産見込みを誤って作りすぎたために低価格にして大量に売りさばこうという意図があるのかもしれません。

やはり、お得だという理由ですぐに飛びつくのではなく、その理由を自分が納得いくまで確認してから初めて財布の口を開くべきなのです。

どんな情報がインターネット上に流れていたとしても、消費も結局は「自己責任」ということを認識したうえで自分本位の消費を心掛ける必要があるのです。

隙あらば消費者を騙そうという企業は多くはありませんが、確実に存在します。そのような企業の“ステルス攻撃”を避けるためには、消費者側が情報リテラシーを高めて、自分の価値観に基づいた購買行動を実践することが最大の防御となるのではないでしょうか。
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