「見捨てられ不安」とは どんな不安?

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いつも恋人や友達がそばにいないと不安でたまらないのはなぜ?

恋人がいつも一緒にいてくれなかったり、少しでも否定的なことを言ったりすると、絶望感でいっぱいになる。仲のよい友達に別の友だちができただけで、たまらなく寂しくなり、不安になる……。このように、信頼している人との間に少しでも距離を感じると、自分が見捨てられてしまったような不安が高まり、いてもたってもいられない気持ちになることを「見捨てられ不安」といいます。

この「見捨てられ不安」が強いと、恋人や友達に1日に何十回もメールや電話をしたり、相手を失うのが怖くて、何でも相手の言いなりになり、服従してしまう人もいます。少し批判されると急に裏切られたような気持ちになり、攻撃的な感情が湧いてくる人もいます。

このように「見捨てられ不安」が強い人には、その不安に耐えかねて極端な行動に出て、自分自身を生きにくさのなかに追い込んでしまう人が少なくありません。

「見捨てられ不安」の原因のひとつは幼い頃にある? 

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幼い頃に十分に受け止められた経験が安定感につながる

では、「見捨てられ不安」はなぜ生じるのでしょう?

見捨てられ不安は、乳幼児期に主たる養育者との関係の中で、「十分に受け止められた」「安心感をもらえた」という実感を持てなかった場合に生じることがあると言われています。

一人でいても安心できる自信や安定感は、情緒がぐんぐん育つ子どもの頃に、いつもそばにいてくれる人との関係のなかで育っていくからです。

赤ちゃんは、泣いたときにすぐに抱っこされたり、世話をしてもらえることで安心を感じます。歩き始めた子どもは、養育者の見守りを感じることで、安心して外の世界に足を伸ばしていきます。

かんしゃくを起こした幼児は苛立ちを受け止められることで、「素直な感情を出しても大丈夫」と安心ます。集団生活に入る時期の子どもは、安心して過ごせる場所を確保することで、集団の中で勇気をもって活動をしていくことができます。

「相手を失いたくない」という不安から、相手を束縛してしまう

しかしこの過程で、「ありのままの自分でいていい」という自信や「養育者はいつでも待っていてくれる」という安定感を持てないまま育つと、心のどこかに「見捨てられるのではないか?」という不安がつきまとってしまいます。

そして、見捨てられ不安に振り回されると、「恋人や友達を失いたくない」という不安から「相手を束縛したい」という思いにかられやすくなります。相手にしがみついて依存的になったり、友情や愛情を試したり、極端な行動や自暴自棄なことをしてしまうことがあるのです。

こうして相手を束縛すると、相手はその関係を非常に負担に感じ、信頼関係に溝が生じてしまうことが少なくありません。

それでは、見捨てられ不安を克服する方法はあるのでしょうか? 見捨てられ不安が強い人は、自分自身を振り返り、考え方や行動を修正していく必要があります。ここでは3つの方法をお知らせします。

見捨てられ不安への対処1:不安の背景を知る

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不安に向き合うことから始めてみよう

一つ目は、不安の背景を知ることです。

前述した通り、見捨てられ不安は、幼い頃の主たる養育者との関係によって生じることが多いと言われています。自分自身の幼い頃の思いを振り返ってみましょう。そして、つらかったときにどのように受け止められ、どのような言葉がほしかったのかを考えてみましょう。

まずは、自分の不安な気持ちがどこから来ているのか、不安な気持ちを鎮めるために何を求めていたのかを理解することが大切です。

見捨てられ不安への対処2:不安との折り合いをつける

二つ目は不安と折り合いをつけることです。

見捨てられ不安が強いと、「不安な気持ちを今すぐに解消したい」という欲求が高まることが多いです。そのため、友達や恋人に「いますぐに話を聞いて!」と急に電話をしたり、何時間も話し続けてしまうことがあります。

しかし、こうした行動を繰り返すことによって相手との関係に溝を作り、自分自身のストレス耐性の成長を阻害してしまうのです。

では、不安な気持ちが高まった時には、どうしたらいいのでしょう? 他のことに気持ちを向けることによって不安をやりすごすこと、そしてしばらくの間、その気持ちを抱えてみることが必要です。

友達や恋人と話をするときにも、「今日は1時間話そうね」などと約束の時間を設定し、話し足りないと思っても、時間がきたら予定通りに話を終えることを習慣にしてみましょう。また、次回会う約束をしているなら、その時まで不要な連絡を控えるのも賢明な方法です。

見捨てられ不安への対処3:心の中の「子どもの私」を慰める 

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大人の私の心の中には未消化なままの「子どもの私」が住んでいる

三つ目は、「子どもの私」の不安を慰めることです。

見捨てられ不安は、心の中に残る未消化なままの「子どもの私」の心が感じている不安です。「子どもの私」が「見捨てないで!」「私だけを見て!」「勝手にどこかにいかないでよ!」と騒ぎ、暴れたくなっているのです。

いてもたってもいられないときには、「この不安は、『子どもの私』が感じている不安なんだ」と自分の心に言い聞かせること。そして、「心配しなくても大丈夫」「さびしかったんだね。でも、心配いらないよ」と、子どもの頃にかけてもらいたかった言葉を、自分自身で「子どもの私」に語りかけて慰めてあげるといいでしょう。

そして、極端な行動や自暴自棄な行動を我慢できたときには、「よく我慢できたね」と「子どもの私」に声をかけ、別の手段や方法で不安を落ち着かせたり、自分自身で苛立ちを受け止めてあげるといいでしょう。

見捨てられ不安が強い場合、カウンセラーや医師に相談を

このように、見捨てられ不安を抱えている人は不安の背景を知り、不安と折り合いをつけ、「子どもの私」を慰めるという3つのポイントを行うことが大切です。

ただし、自分一人だけで行おうとすると不安に負けてしまったり、周りの人との関係のなかだけで行うと、葛藤や混乱が生じたりして、うまくいかない場合もあります。

できれば定期的にカウンセリングを受け、カウンセラーと共に行っていくのが安全で効果的です。また、コントロールできそうもない不安に襲われたり、極端な行動、自暴自棄な行動を起こしたくなり、自制できそうもない場合には、メンタルクリニックを受診し、医師の判断のもとで治療やカウンセリングを行っていくといいでしょう。

また、見捨てられ不安を含む「愛着障害」については、「恋愛依存やドライな家族関係に陥る愛着障害とは」に詳述しています。乳幼児期の養育者のかかわり方の影響については、「三歳児神話より大切な3歳までの心育て」で解説しています。よろしければご覧ください。

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