年齢は大人、中身は思春期…そんな「大人の思春期」が増えている!?

派手なネイル

大人になっても、思春期のような行動から抜けられないのはなぜ?


年齢的には20代後半以上の成人。なのに「思春期」のような行動をとる女性は、珍しくありません。稼いだお金で趣味や女子会にたくさんのお金を投入する。仕事のストレスから逃れるために、好きなことにエネルギーを注いで楽しく過ごしている。それなのに、「どこか満たされない気持ち」が心の底から湧いてくる……。そうした思いを抱える人は、少なくないのではないでしょうか?

私は、20代後半の成人期に入っても思春期と同じような行動をとり続け、「楽しいのにどこかむなしい」「このままでいいのだろうか」といった不安を抱えた状態を「大人の思春期」と呼んでいます。
 

思春期の子がとる行動とは?…「みんなと同じ」にこだわり、安住する

写真を撮る女性たち

同質の仲間に認められることが、思春期の子には大きな意味をもつ


そもそも、10代半ばの思春期の子はどのような行動をとるのでしょう? 思春期は、親に頼らず社会とかかわりながら生きる力を養う年代です。社会の中で生きる自信をつけるために、子どもたちは、自分が周囲から「価値のある存在」だと認めてもらいたいと願います。

とはいえ、親や教師などの大人から、いくらほめられてもうれしくはありません。自分と同質で対等の立場にある人から、友だちや仲間として認めてもらうことを第一に欲するのです。その第一段階として、周りにいる同質の仲間に自分を受け入れてもらい、認めてもらうことを欲します。

とはいえ、友だちから承認を得るためには、たくさんの努力が必要です。仲間外れにされないように、会話や趣味を合わせなければなりません。「ダサい子」「ウザいヤツ」とレッテルを貼られないように、ふるまいにも気をつけなければなりません。

そのため、思春期の子は周囲に合わせ、仲間外れにされないための同調行動をとるようになります。このように「みんなと同じ」という意識で同調的にかかわる仲間関係は、教育心理学で「チャム・グループ」(同調的な仲間)と呼ばれています。
 

青年期には同調行動を卒業し、「私らしさ」に目覚めていく

アイデンティティを自覚していく女性

青年期には友だちとの違いから、自分らしさを理解していく


高校生も後期になると、人は次第にチャム・グループ的なつきあい方に居心地の悪さを覚えるようになります。10代後半から20代前半の青年期には、自分らしい生き方を築きたいという「アイデンティティの確立」に関心が移っていくからです。

それまで同じ環境で学んできた友だちとも、目指す進路は分かれ、人生に対する考え方にも違いを感じるようになります。このように考え方や個性の違う友人たちとの間で、それぞれの「私らしさ」について語りあうことで、自分のアイデンティティを理解していくのが青年期の特徴です。このような多様性をベースにした仲間関係は、「ピア・グループ」(自立的な仲間)と呼ばれています。

友情がチャム的なものからピア的なものに発展していくことによって、人は多様な人間と関わりながら社会で生きていく自信を伸ばしていきます。
 

20代後半になっても「思春期らしさ」から脱皮できないのはなぜ?

ところが、近年では20代後半以上の成人期に入っても、思春期のようなチャム・グループ的なつきあい方(同調的な仲間関係)から、卒業しきれない人が増えているように思います。

たとえば、大学や専門学校を「友だちが一緒だから」という理由で選び、進学先での通学もサークルも高校と変わらずに一緒。社会人になっても同期の仲間とたびたび集まって、仕事の愚痴を語りあう。出産後もママ友メンバーと集まり、幼児教室から受験先まで仲間と歩みを合わせる。

このように、成人期になっても、周りに合わせずにはいられない人が増えているように思うのです。いったいどうしてなのでしょう?
 

「大人の思春期」から抜けられない理由①…アイデンティティを深めていない

窓の外を見る女性

アイデンティティと向きあわずに過ごしていると、「大人の思春期」から抜けられない


一つには、本来なら20代前半までの青年期に模索するべきアイデンティティが、あいまいになっていることが考えられます。自分らしい人生を築いていくには、根気と勇気が必要です。その過程では一人で考え、新しいことにチャレンジすること、多様な人間とかかわり、意見をぶつけあっていくことも必要になります。

これらの苦労にエネルギーを費やすより、友だちとの同調行動に浸っている方が安心できるものです。しかし、そこに安住してしまうと、アイデンティティを深める機会を逸してしまいます。
 

「大人の思春期」から抜けられない理由②…成長を阻む社会的背景の問題

ゴージャスな爪

チャイルディッシュな消費文化に浸り、「大人の思春期」を続ける人も少なくない


また「大人の思春期」が続くことには、社会的な背景も関係していると考えられます。若者文化が花開く日本は、ある意味、大人としての義務感から逃避しやすい環境にあると言えるのではないでしょうか。

繁華街に繰り出し、インターネットを開けば、いつでも思春期の頃の自分に戻れるようなエンターテイメントやグッズであふれています。そうした文化に浸っていると、子どもっぽい行動をとり続けることが許される感覚、むしろそうした行動が社会に歓迎されている感覚を覚えてしまうでしょう。このような社会的背景が、「大人の思春期」を助長する原因の一つにあるように思います。
 

年齢なりに成長する自分の心と対話しよう

考える女性

「自分らしさ」を見つめることが、成熟した「大人の女性」への一歩となる


とはいえ、いつまでも思春期のような思考や行動を続けていると、「どこか満たされない気持ち」が募ってくるものです。

なぜなら年齢を重ねると、以前と同じような同調的な付き合いを望む友だちが減っていくからです。特に就職や結婚、出産などのライフイベントを経験すると、心のありようが大きく変化します。そのため、互いのライフイベントが重なるごとに、友だちとの温度差を感じるようになるでしょう。

また、アイデンティティが確立しないまま年齢を重ねると、他人に利用されて、つらい思いをすることもあります。たとえば、利己的な人のなかには自立性の低い人を利用して、自分の思い通りに支配しようとする人もいます。

年齢とともに成長する自分の心を理解し、アイデンティティを見つめて、自分らしい生き方を確立することが必要です。人は誰でも、他の誰とも違う「自分にしかない自分らしさ」を持っています。

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このように自分のアイデンティティを見つめることが、「大人の思春期」から卒業することにつながっていきます。そのためには、カウンセリングを利用するのも有効です。カウンセラーにありのままの思いを語り、自分の本心に気づくことができると、アイデンティティに根差した自立的な生き方を考えていくことができると思います。

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