パークリュクスの新展開
パークリュクスは、三井不動産レジデンシャルが展開するシングル二人暮らし向けマンションシリーズの名称である。顧客の声を商品企画にいかし、販売センターの所長には必ず女性を起用するなど徹底した体制が特徴。2008年からスタートした。「パークリュクス神楽坂」の最大の見どころは神楽坂通りに面する立地である。決して閑静とは言えないが、車両の騒音とは無縁。また建物に盛り込んだアイデアも良い。格子をイメージした縦と横の強調されたラインは、柱を角に置かない開放感を考慮した専有部の工夫とも相まって、内外ともに質を一段上げた。秀逸な設計は日建ハウジングである。詳しくはこちらを。
接客も優れていた。こまかな家具レイアウトシートを用意し、青田で暮らしをイメージ(決断)しにくいターゲット層にアプローチする。「良い土地ほど素早い判断を要する」ツールとして有効だったそう。昨今のシングル検討者は、友人同士で気軽に来場する傾向も見られるという。顧客心理の変化に柔軟に対応しながら、修正を図っていく。4年の間には、リーマンショック後の厳しい時期もあったが、戦略市場を着実にモノにしている印象を持った。プランの進化、ニーズの反映など今後のさらなる進化が楽しみだ。
新コンセプト「A・Standard(エースタンダード)」
もうひとつの注目物件は、京阪電鉄不動産の「A・Standard(エースタンダード)」。都市部で展開するコンパクトマンションの新たなシリーズ名で、第1弾「渋谷」と第2弾「本郷」を今年同時にデビューさせた。キーワードは、コミュニティである。詳しくはこちら。コミュニティと聞けば、郊外の子育て層を真っ先に浮かべてしまう。が、都市で暮らす30代や40代のシングルあるいは二人暮らしの世帯でも、社会においてはコミュニティの一員であることに変わりはない。家族世帯との違いは、依存の度合が低く、自分らしくいられることを優先したいということ。
そもそも限界のあるペンシル型マンションの共用スペースに、彼らが溶け込みやすい空間をしつらえたのが「A・Standard(エースタンダード)」の魅力。珍しいコンセプトであるが、その考え方に共感して購入してもらうことが、狙いを達成させる最大のポイントになることから、販売センターは随所に工夫が凝らされていた。仰々しくなりがちなマンションギャラリーのシアターはやめ、日常の風景を等身大に伝える。腰かける家具は竣工後ロビーに設置するものを用意。コンパクトプランでも土間のある提案や自分で壁紙の色を自由に選べるなど、今のニーズを丁寧に吸い上げた。第3弾はいつどこで出るか。すでに待ち遠しく思うファンも少なくないのではないだろうか。
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