シングルライフとタワーマンションの相性
専有面積が、30平米台から50平米台のコンパクトマンションは、シングルや二人暮らし、または投資用に探している人が対象顧客となる。そのカテゴリーにおけるマンションの選択肢は、大きく2分類が存在する。まずひとつが、タワーマンションをはじめとする大規模物件の下層階住戸である。眺めの良い上層階は、広くラグジュアリーな空間にして富裕層に訴求するが、景色の見えにくい下層階は、だれもが買い求めやすいよう小さな住戸をつくる。そこをマイホームとして検討する。
高級感はそのままに、下層階というだけで安いのだからお得ではある。大規模特有の共用施設も付随するため、買い得感はさらに高まりそうなもの。しかし、実際の利用頻度をイメージすると果たしてそれがどこまで有益か。ファミリーの多いコミュニティは煩わしく思える時がないわけではなく、いずれのスケールメリットも感じられないという人も少なからずいるようだ。
コンパクトマンションに内在しがちな不利益
もうひとつのタイプが、都心立地の「コンパクトタイプのみで構成されたマンション」である。20戸~50戸程度の規模であるため、部外者の認識もしやすく安心感がもてる。規模的に多様な共用施設も無いことから、ランニングコストも抑えやすい。このクラス(規模感)の難点は、中高層のペンシル型物件が多いこと。つまり、商業地域の雑居ビルの並び、あるいは幹線道路沿いに建つ割合が高い。しかし、だからこそ駅に比較的近く、生活利便施設が周りに多く、そして角部屋の比率が必然的に上がる。
こうしたコンパクトマンションに内在する、デメリットを払しょくし、メリットをさらに伸ばす物件が今年誕生した。シングル市場は、営業力のあるデベロッパーもスムーズに売り切るさせることが難しいといわれているなかで、短期のうちに完売した「パークリュクス神楽坂」、そしてコンパクトマンションに都市部ならではのコミュニティ形成を試みた京阪電鉄不動産の「A・Standard(エー・スタンダード)」である。