ただ、助成金・補助金の受給は魅力的である反面、多くの注意点も存在します。そこで、今回は起業コンサルタント(R)、税理士、社会保険労務士、行政書士としてガイドが関わった多くの事例をもとに、起業・独立開業時の助成金・補助金の活用法と注意点について解説します。
助成金・補助金のワナ?
助成金・補助金のワナにハマらないように注意しよう
ただ、助成金・補助金をもらおうと考えるとき、いくつかの注意点があります。ここを間違えると、助成金・補助金をもらいたいがために経営そのものを狂わせてしまう可能性があるのです。以下、起業・独立開業時の助成金・補助金で失敗しがちな注意点を紹介します。助成金・補助金の検討の前に、まずはこの点を知っておいてください。
1. 過分な人員数を採用してしまう
ある一定の人材を採用することを要件として受給できる助成金・補助金が多数あります。事業計画書上、助成金・補助金の受給を前提として人員計画を立てているケースも多くあります。ただ、一度は立ち止まって考えてみてください。
「その人員数、本当に必要ですか?」
助成金・補助金をもらえるからといって無理して採用しようとしていませんか?人の採用を前提とした助成金・補助金は、1年以内に1回か2回もらえるだけですよ。人件費は、その後ずっと払っていく必要があるのです。よく考えましょう。
2. 過分な給料額を設定してしまう
上記と似ていますが、助成金・補助金を受給できる条件として、採用する人材に一定の職位や給与額の支給を求めるものがあります。これも要注意。
「その職位や給与額、起業したての今の段階で本当に妥当ですか?」
人を採用するということは、その人の家族の生活保障も含めて、その後ずっと、経営者としての責任が生じます。慎重に検討するべきです。
3. 採用する人材の選択肢を狭めてしまう
ある一定要件に該当する人材を採用することで助成金・補助金がもらえることがあります。助成金・補助金の受給を優先させてしまうと、その限られた人材の中でしか、採用する人材の選択をできないということになります。事業の成否は人材次第。
「本当にその限られた条件の中での採用で良いですか?」
会社経営ということを考えたとき、助成金・補助金の受給を優先させるのか、少しでも優秀な人材を求めるのか、よく検討する必要があります。
4. 余分な設備投資をしてしまう
助成金・補助金の受給要件として、ある一定額以上の設備の購入や家賃の負担を求めるものがあります。これも立ち止まってよく考えてください。
「起業・独立開業の段階で、その高い設備、パソコン、車輌、オフィスは必要なものですか?」
助成金・補助金をもらいたいがために無理して導入しようとしていませんか?まれに、無理して導入して助成金・補助金を受給しようとしているケースに遭遇します。ただ、ガイドは税理士の立場としてどうも矛盾を感じます。助成金・補助金をもらいたいがために余分な設備投資をするというのは本末転倒ではないでしょうか。後々の資金繰りに影響しないように、立ち止まってよく検討しましょう。
5. 事業展開のスピードが遅れる
助成金・補助金申請の手続きがある程度のところにまで進んだあとに、人材採用や会社設立などをしないと助成金・補助金の対象から外れてしまうといったものがあります。それにこだわるばかりに、事業を立ち上げるスピードが2、3ヶ月遅れてしまうといったケースも発生します。
「助成金・補助金の受給にこだわるばかりにビジネスチャンスを逃がしませんか?」
これも本末転倒になりかねません。