まずは養育者の気持ちが救われること 

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親の気持ちが救われれば子どもへの暴力は防げる

多くの児童虐待は、保護者の心が追いつめられた末の行動です。したがって、子どもを傷つけずにはいられないほどの心境になる前に、保護者自身の心が救われる必要があります。保護者本人がそのことに気づき、ご自分から保健センターや児童相談所に相談することができれば、早めに親子が安心して暮らし、子育てするための必要なサポートを受けることができます。

しかし、保護者が自分の行動の虐待化に気づけなかったり、相談することに躊躇していたり懐疑的だったりすると、出口の見えない閉塞感のなかで、保護者の心情はさらに追いつめられてしまいます。虐待はそうした状況のなかで、深刻化してしまうのです。

したがって、児童虐待を防ぐには周りにいる人がそのリスクを察知し、見守る姿勢も必要になります。たとえば、近所の人が追いつめられているように感じたとき、「元気ないようですが、どうしました?」「私でよかったら、少し話を聞かせていただけますか?」と声をかけてみること。拒否されても見守っていき、しつこくならないように配慮しながら、やさしく挨拶をしていきましょう。

そして、「力になれることがあるかもしれませんから、よかったらいつでも声をかけてください」と一言、言葉を残してあげるといいと思います。この言葉かけだけでも、相手の心への寄り添いになり、相手の張り詰めていた気持ちはふっと楽になります。

また、虐待をしている可能性を察知したら、勇気を持って地域の児童相談所に通報(通告)をし、行政の支援につないでいくことも求められます。児童虐待防止法では、児童虐待を受けたと思われる児童を発見したときの通報(通告)は、国民の義務と定められています。

通報を受けた児童相談所等では、通報した人が特定できないように、細心の注意を払って対応していきますので、ためらわずに最寄の児童相談所に通報しましょう。

気づいて声をかけた人だけが抱える問題ではない 

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ほんのちょっとした声かけ、気づかいが大きなサポートになる

声かけや通報に関しては、それを行った人が相手の思いをすべて受け止め、一緒に問題を抱えていかなければならないのでは、と心配する人も多いのですが、けっしてそんなことはありません。地域の支援機関につなげた後の具体的な支援は、主に支援機関が当事者と共に考え、行っていくことになります。

したがって、周りの人はできる範囲でその人を気にかけ、声をかけたり話を聞いたり、必要な支援機関の情報を提供したりするだけでも、非常に大きなサポートになるのです。

児童虐待は年々増え続け、全国の児童相談所では、年間6万件に届くほどの相談件数に対応しています。児童虐待は、けっして遠い世界の問題、出来事ではないのです。当事者自身が、自分の虐待行為の可能性に気づき、周りの人が思いやりの気持ちを持って見守り、声をかけ、早めに支援機関につなげることによって、問題の深刻化に歯止めをかけることができます。

そのためにも、本人と周りにいる人たちが虐待について正しく知り、早めに虐待の可能性に気づいて、支援機関と共に対応を考えていくことが必要になるのです。

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