マンション市場に異変!?
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まず、震災の影響をもろに受けた昨年秋と比べ、供給戸数が10%も落ち込んだというのは意外である。さらに、数を抑えたにもかかわらず、成約率が「好不調のライン」とされる70%を下回ったことにも注視したい。大地震の影響で「新築マンションは耐震性が高い」と住み替えが進み、逆に需要が膨らんだとする見方もあったが、それも一時の現象だったのか。
同報告書によれば、「10月の発売戸数は5,000戸の見込み」とある。これは過去3年の同時期実績(2011年10月3,372戸、2010年同3,718戸、2009年同3,386戸)を見ても大幅増加の予測。その通りになれば、9月不調はたまたま「はざまだった」で片付けられる。が、一方でこんなデータもある。都区部の成約率は66.9%と全体平均を下回り、分譲単価も70.9万円/平米で前年比11.0%ダウン(全体では6.3%ダウン)。これまで首都圏を牽引してきた都心のマンションが、9月に限っていえば「値下がりが大きく、かつ売れていない」。
消費税増税の駆け込みは?
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さらに、業界の追い風となったのが消費税増税だ。2014年4月に8%、2015年10月に10%と二段階に分けた増税計画が、すでに駆け込み需要を生んでいるのではないかというのだ。現場の所長クラスから「明らかな傾向が出始めた」とは聞かないのだが、無言の後押しになっている可能性は誰も否定しない。
過去の増税(1997年4月)を振り返ってみれば、たしかに直前は活況を呈した。飛ぶように売れた、といっても過言ではないだろう。しかし、直後の冷え込みもすごかった。表面的な値下がり、表面化しない値引きなどなどを考慮すれば、果たして駆け込んだことが本当に得だったのか、といった印象さえする。今回はその教訓がどこまで市場に影響を与えるのだろうか。そんな見方が大勢ではある。