急傾斜地崩壊危険対策
もはや“ゲリラ豪雨”が異常気象とはいえなくなった日本の気候。2012年夏の関西地方を襲った集中豪雨による被害は記憶に新しいところである。大雨がもたらす土砂災害やがけ崩れは、おもに山間部にみられる現象。広範囲に甚大な被害をもたらすものとして「深層崩壊」が昨今取りざたされているが、これについては別サイトでまとめたので、興味のある方はご参照願いたい(末尾にリンク)。さて、都心部では深層崩壊のような危険性はまず考えられないが、急斜面地における部分的な崩壊の危険性は有り得るようだ。そもそも東京の都心部は、標高0m地域と約30mほどの台地、そしてそれらをつなぐ斜面から構成されている。つまり、傾斜地が多いのである。
いままでは、気にも留めなかったことかもしれないが、今後は気候変動(集中豪雨の頻度の高まり)や地震多発もあり、あらためて新たなリスクのひとつとして認識しておきたいところ。東京都では防災対策の一環として、「土砂災害危険箇所マップ」を公開している。
◆土砂災害危険箇所マップ(東京都)
このマップでは、土石流危険箇所、急傾斜地崩壊危険個所、地すべり危険箇所などが色分けして表示されている。なかでも急傾斜地崩壊危険個所が地図上に少なからず点在しているのが印象に残る。
細かく見ていくと、江戸時代からの建造物の残る斜面や地形的に急斜面のあるところ、また線路を通すために台地を彫り込んだ場所などがおもに指定されているようだ。洪水ハザードで示された低地の地域などは、当然といえば当然だが、急傾斜地崩壊リスクは見当たらない。