バーンアウトとは何か…頑張りすぎてしまう人ほど高リスク
バーンアウトは「燃えつき症候群」とも呼ばれる心のトラブル。頑張りすぎる人に生じやすい
「感情労働」の記事でも触れましたが、医療職や介護職など対人支援の職業にもバーンアウトは多いものです。長時間、感情を制御して働くと精神的に消耗します。心を込めて対応しても、必ずしも期待通りの結果が返ってくるとは限りません。
また、誠心誠意取り組んできた仕事に成果が現れない場合にも、バーンアウトはしばしば生じます。立ち上げたプロジェクトがうまくいかない、開発した商品が売れない、新規事業の成果が出ないなどの場合がそうです。
その他にも、ワンオペ育児を頑張る母親、猛勉強の成果が表れない受験生、就職活動で疲弊する学生、婚活や妊活で疲弊する女性など、頑張っても結果に結び付かない場合、バーンアウトのリスクが高まります。
バーンアウトに悩む人に見られる3つの症状とは
バーンアウトの3つの症状に心当たりはありませんか?
「バーンアウト」のリスクを測る指標に、アメリカの心理学者マスラックが開発した「バーンアウト尺度」があります。これは、バーンアウトを起こす人によく見られる次の3つの症状を測定する尺度です。
1)情緒的消耗感……心身ともに疲れ果てた感じ
2)脱人格化……人を人とも思えなくなる感じ
3)個人的達成感の減退……取り組んでもやりがいを得られない感じ
バーンアウトに近づくと心身共に疲弊し、疲れ果ててしまいます(情緒的消耗感)。感情が摩耗して他人のことなどどうでもよくなり、事務的な対応しかできなくなります(脱人格化)。目標に意味を見出せず、やる気を失ってしまいます(個人的達成感の減退)。
バーンアウト対策1. 一つのことだけにのめり込みすぎない
一つのことだけに意識を奪われ、心のバランスを失っていませんか?
仕事熱心な人は仕事が終わっても勉強を怠らず、休みもそこそこに仕事のことだけに集中することが多いものです。家事・育児に励む主婦、受験勉強や就職活動に追われる学生、何かを目標に頑張っている方も同じではないでしょうか。
意識が一つのことだけにとらわれていないか、目標達成のために身を削って頑張りすぎていないか、自分自身を振り返ってみましょう。目標に向けて頑張るのはすばらしいことですが、気晴らしや心の支えも必要です。
仕事だけでなく家族との時間も楽しんでいる。子育てだけでなく自分の時間もキープしている。勉強や就活だけでなく、部活や友だちとの付き合いも充実している。このように、日々の気晴らしや心の支えを大切にしていると、バーンアウトのリスクを減らすことができます。
バーンアウト対策2. コーピング・レパートリーを増やす
多様なストレス対処法を「コーピング・レパートリー」と呼びますが、気分転換の手段を複数持ち、充実させることが大切です。散歩をしながら、気持ちよい外気に触れてリフレッシュする。たまには映画を観て、心から感動する。店先で心ときめく雑貨を見つけて、幸せな気分に浸る。こうしたさりげない喜びは、自分を心からリラックスさせてくれるものです。
気心が知れた人とじっくり話すことも、よい気分転換になります。グチを聞いてもらうだけで気が晴れ、漠然と感じることを言葉にするだけでも気持ちの整理がつくものです。
対策がうまくいかないとき・バーンアウトからの立ち直り方
心が疲れきっているときにはカウンセラーや医師に相談してみよう
カウンセラーと対話をすることで自分の考え方や行動のパターンに気づくことができ、無理のないライフスタイルの築き方や気分転換の取り入れ方を発見することができます。
すでにバーンアウトをしてしまい、何をする気にもならない場合には、治療が必要な状態なのかもしれません。心の専門医への相談を検討してみるといい思います。早めに治療を始めれば、早めの回復が期待できます。つらいときにはぜひ一人で悩まずに、心の専門医に相談してみてください。
【関連記事】