物件探しは情報量が命
良い物件は、圧倒的多数の情報の中から見つけ出すこと
例えば、ガイドとよく仕事をしているある飲食業向けコンサルタントがいつもアドバイスしていること。それは、足で30件の不動産屋さんを廻りなさいということです。1件あたり5件の物件を紹介してもらったとして、全部で150件。経験上、150件の物件に検討する中で、ようやく2、3件の候補物件に絞ることができるというのです。
近道はありません。資金や時期などの裏付けを示し、本気で探しているということをアピールしながら、足で情報を集めるしかないのです。
もし、良い物件が無いと嘆きながら、起業独立時期を先延ばししている場合は、もう一度、足で動くことが足りているのか、振り返ってみることが必要でしょう。
賃料、広さの参考指標とは
賃料や広さについて、身の丈を超えた物件を借りてしまうことがないように、参考にできる指標があります。ただし、業態や経営方針によっても大きく異なってくるところですので、あくまで参考として聞いてください。■1人3坪
オフィス選びに限定すると、参考に出来る指標が一つあります。複数のスタッフが共有するスペースも含めて、1人3坪(1坪は約3.3平米)を確保することが適切という指標です。これからの人員計画なども含めて、検討の際の参考指標にすると良いでしょう。
■売上の3日分
江戸時代からいわれていること。それは、店舗などの家賃は3日分の売上でまかないなさいということです。これは置き換えれば、だいたい月の売上の10%程度の家賃であれば、無理のない家賃水準だということです。例えば、300万円の売上だとすれば、その10%の30万円くらいだったら、負担感がないということになります。
ただ、起業・独立ですから、そもそも売上予測が当たるとは限りません。飲食店など店舗系ビジネスでは、立地一つで予測通りにいくかどうかが影響を受けたりします。集客の予測や対策とともに、事業計画書の作成の際によく検討しておくべき数値です。
居抜きについて
居抜き物件とは、テナントが退店するにあたり、内装、造作、器具等を新しい借り主がそのまま引き継ぐことを前提とした物件です。飲食店での起業の場合、資金的に居抜き物件しか検討できないというケースも多くあります。■居抜きは居抜き専門の業者で
基本的に居抜き物件は居抜き専門の業者を頼る必要があります。通常の不動産仲介会社よりも居抜き専門業者の方が先に情報を仕入れるからです。居抜き物件としての引継ぎ先が決まらなければ、撤退時の原状回復で多額の費用を負担しなければならないため、前の借り主は解約予告の数ヶ月前の段階で、こうした業者に相談することが理由です。
■居抜き物件のメリット
居抜き物件の借り主側のメリットとしては以下があります。
- 内装、造作等の工事費を抑えることができる
- 厨房機器等の購入費を抑えることができる
- 短期間でオープンできる
- 同じ業態なら前のお客も取り込める可能性がある
逆にデメリットとしては以下があります。
- 自由なレイアウトができない
- 設備の老朽化で後にトラブルが起きる可能性がある
- 前の店舗の悪いイメージを引きずる可能性がある
- そもそも業績不振で撤退した可能性が高いため、立て直しの要素が多い