起業・会社設立のノウハウ/会社設立・登記、物件選びの方法

起業時のオフィス・店舗の探し方と契約交渉

起業の失敗事例で特に多いのがオフィスや店舗選びの失敗が原因というケース。例えば、身の丈以上の物件の賃料が負担になり、起業後1年で立ちゆかなくなるというような場合です。こうしたことは事前に正しい知識を身につけていれば、防げるものが多いと感じます。起業時のオフィス、店舗選びについて、正しい知識を身につけましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

起業の失敗事例の中で、店舗、事務所などの賃貸物件の選び方、契約の仕方を間違えたことが失敗の大きな要因の一つだということがあります。

例えば、無理して身の丈より高い賃料の物件を契約したり、立地的に客層と合っていない物件を契約したりといったケースです。大きなお金が動く大事なことにも関わらず、数多くを経験することができないことであるため、初心者としての失敗をしやすいともいえます。ただ、事前に役立つ知識を知ることにより、こうした失敗はある程度は避けられるでしょう。

今回は、ガイドの多くの起業支援経験を元に、起業時のオフィス・店舗選び、契約交渉などについて解説します。


不動産仲介会社の失敗しない選び方

不動産仲介会社選びも重要

不動産仲介会社選びも重要

物件探しの第一歩は、どの不動産仲介会社にサポートしてもらうかということです。ポイントは情報をこまめにくれるかどうか、こちらの要望に対してどれだけ迅速に行動してくれるかです。

逆に、すぐに決まりそうな客ばかり狙って商売をしているような不動産仲介会社に頼ることは危険なこと。起業家にとって大切な時期に、物件探しがうまくいかずに時間を浪費してしまう可能性もあるのです。

これを見極めるポイントは、最初の1週間にどれだけメールや電話で情報を流してくれるか。しつこくてうっとしいくらい連絡してくれるところを選ぶのが正解です。

情報量を増やすためにも、裏付けを確認するためにも、そうした業者をいくつか見つけ、情報提供を依頼することから始めましょう。


不動産仲介会社の種類

不動産仲介会社の基本についても勉強しておきましょう。賃貸の不動産仲介会社は大きく分けて、元付け業者と客付け業者の2種類があります。

■元付け業者
貸し主である大家さんから物件の借り主を見つけることを依頼されている業者

■客付け業者
広く借り主を募集し、元付け業者に対して紹介する業者

どちらに該当するかは、物件概要の下の方を見れば、すぐにわかります。まずは、どちらなのかを必ず確認しましょう。

ポイントが一つ。元付け業者は基本的には貸し主である大家さん側の立場に立って行動しやすいということです。借り主である起業家が直に元付け業者と交渉すると、不利になる可能性があるのです。

例えば、賃料の引き下げ交渉をしたいとしますよね。起業家が元付け業者に直に交渉していたら、大家さんに本気で交渉してくれるという期待はできないのがわかると思います。必ず、客付け業者に間に入ってもらい、完全に起業家側の立場で契約交渉等をサポートしてもらうようにしましょう。


不動産物件情報サイトを見るときの注意点

今の時代、インターネット上では不動産物件情報サイトがあふれ、誰でも気軽に検索して物件情報を調べることができます。それを見る上で重要なことがいくつかあります。

■出がらし情報も多い
サイト上にある情報は他にも出回っているような出がらしの情報が多いのが事実です。不動産物件情報サイトは手動ではなく、不動産会社全部が見ることができるおおもとの情報から、自動的にデータの取り込みをしただけのサイトが多いのです。

ただ、それだけ情報がオープンになっているのは、ある意味、素人に有利な要素です。まずは、あちこちのサイトをチェックして、そのエリアの物件だったら、担当者よりも頭に入っているくらいになってしまいましょう。そして、磨いた目と相場観を元に希望の条件を絞り込み、表に出ていない情報、出たばかりの情報を根気よく担当者から引き出していきましょう。

■現地も見ながら探す
ネット情報は存在を知るまでとし、実際には自分で足を運び、周辺も歩き回って現地調査をすることがポイントです。そうしているうちにエリアに対する理解、相場観も養われます。現地を見ないでネットだけで探していると、物件の欠点を見落としてしまう可能性があります。

例えば、駅からの導線や物件周辺、または物件の他の階に、誰もが嫌がるような施設、入居者が存在している可能性もあります。不動産仲介会社を通して、内見の調整をしている時間はもったいないです。気になる物件があったら、即時に一人で現地を見に行きましょう。その結果、本当に気に入ったら内見を申し込むというスタンスで良いかと思います。

■必ず裏をとる
中には掘り出し物に近い情報も掲載されていることがあります。そうした情報を目にしたら、すぐに動きのいい不動産仲介会社に連絡して裏をとってもらいましょう。まれに既に契約が決まって新テナントが入っているにも関わらず、そのまま情報を掲載し続けていることがあります。

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