十五夜・中秋の名月に何する? お月見のやり方・過ごし方のポイント
見上げた夜空に輝く月―― いつでも月見はできますが、十五夜(中秋の名月)の月見は特別です。いったい何が特別なのでしょう?それは、風雅で感謝と祈りに満ちた素敵な行事だからです。その象徴がお供えで、月見団子、ススキ、供物など、ひとつひとつの意味を知ると、心が和み幸せ感度もあがります。お月見は「行事育」の代表格。日本人の心根に触れることができるため、子どもの心を育てる絶好の機会にもなります。
▷詳しくは「親子の根っこをはぐくむ「行事育」とは?」をご覧ください。
こんな素晴らしい夜を、なんとなく過ごすのはもったいない! そこで今回は、十五夜を心豊かに楽しむポイントをご紹介します。
<目次>
十五夜/中秋の名月とは?
お月見でおなじみの十五夜は、中秋の名月の通称で、旧暦8月15日の月をさします。中秋とは秋の真ん中という意味で、昔は7月~9月が秋にあたるため、秋の真ん中である8月15日の十五夜を「中秋の名月」と呼び、お月見をする風習をいいます。
▷詳しくは「お月見クイズ!十五夜の思い込みを5分でを解消」をご覧ください。
なぜお月見をするの?
お月見の風習は唐から伝わり、当初は上流社会でそれをまねていましたが、次第に民間に広がっていきました。初秋は台風や秋雨の日々が続きますが、中秋には大陸の乾燥した冷たい空気が流れ込むため、秋晴れに恵まれ大気の澄んだ季節となり、月がとても美しく見えます。そこで、上流社会で観月の宴を催し、風雅に月をめでていましたが、のちに作物の収穫祭と結びつき、人々は豊かな実りの象徴として十五夜を鑑賞し、お供えものをして感謝や祈りを捧げるようになりました。
十五夜/中秋の名月の過ごし方、お月見の背景
お月見にまつわるものごとには深い意味があります
収穫したものに対しては「おかげさまで今年も無事に収穫ができました」、これから収穫するものに対しては「どうぞ豊作でありますように」、そして「私たちの命が今あるのは、ご先祖様のおかげです」と月を拝んで私たちを陰で支えてくださるものに感謝し、祈りを捧げるようになったのです。
また、日本では月の模様を「うさぎが餅をついている」ととらえますが、月うさぎは慈悲の心の象徴なので、こちらも知っておくと月を見る目が変わると思います。
▷詳しくは「月うさぎの由来・餅つきはなぜ?海外での月の模様の見られ方」をご覧ください。
もちろん、月をめでるのは風流なこと。「花鳥風月」「雪月花」というように、月は風雅の対象としてなくてはならないもので、たとえ天気が悪くても、自然のまま受け入れました。雲などで中秋の名月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」、雨が降ると「雨月(うげつ)」と呼んで、それも風情ととらえます。
▷月の表現については「月の名前~満ち欠けと風流な呼び名」をご覧ください。
さらに、十五夜だけではなく、十三夜(旧暦9月13日)、十日夜(旧暦10月10日)の月見をする風習があり、月に寄せる思いの深さを感じることができます。
▷詳しくは「十五夜、十三夜、十日夜の3月見とは?」をご覧ください。
お月見のやり方~お供えものは月見団子、ススキ、収穫物
月見団子、ススキ、収穫物…お月見のお供えものには意味があります
■月見だんご
農耕儀礼にだんごやお餅は欠かせませんが、月と同じく丸いだんごをお供えし、それを食べることで、健康と幸せが得られると考えられているからです。十五夜では、十五にちなんで一寸五分(約4.5センチ)の大きさのおだんごを15個お供えします。また、1年の満月の数と同じで12個(閏年には13個)、15を簡略して5個にする場合もあります。
▷詳しくは「十五夜!月見団子お供え方法…並べ方・積み方・数・レシピ」をご覧ください。
■ススキ
ススキは、作物や子孫の繁栄を見守ってくださる月の神様の「依り代」と考えられています。本来は依り代として稲穂をお供えしたいのですが、稲刈り前にあたるため、稲穂に似たススキが選ばれました。また、ススキの鋭い切り口が魔除けになるとされていて、軒先にススキを吊るす風習もあります。
ススキのほかに、秋の七草(萩、尾花、葛、女郎花、藤袴、桔梗、撫子)や野の花を飾っても良いですね。身近な花を心を込めて供えましょう。
▷秋の七草については「秋の七草の覚え方~覚えやすい歌と語呂合わせ【ハスキーなお袋】」をご覧ください。
■収穫した野菜やくだもの
十五夜を別名「芋名月」と呼ぶように、芋類の収穫を祝う行事でもあるため、里芋やさつまいもなどをお供えします。さらに、旬の野菜や果物を供え、収穫に感謝をします。とくに葡萄のようなツルものを供えると、お月様とのつながりが強くなるといわれています。
十五夜は別名「芋名月」といい、里芋を供える風習があります
お月見のお供えものは食べていいの?
お供えものは食べてOK。むしろ、食べることに本意があります。里芋の場合、衣かつぎに調理してから供えることも多いですね。きちんとお供えできないときは、食事用に作ったものを感謝の気持ちをこめてお供えし、すぐにおろして食べれば良いのです。ほんのひと手間のことですが、心の栄養になると思います。「月見どろぼう」~子どもがお月見のお供えものを盗む風習
お月様が食べてくれたと考えるので、子どもの「月見どろぼう」は歓迎されました
また、月見だんごを食べると子宝に恵まれるので、嫁入り前の娘は月見だんごを食べてはいけない、とする地域もあります。
▷詳しくは「お月見どろぼうとは?ハロウィン日本版!?お月見の微笑ましい風習」をご覧ください。
おなじみのお月見も、こうしてみると深い思いがあるのがわかります。風雅なうえに感謝と祈りに満ちているので、できることを取り入れて、心豊かで幸せな時をお過ごしください。
【関連記事】