ランチコースより
つき出しの「ヘーゼルナッツのカラメリゼ マドラス風味」
それでは、今回は「軽快に」と名付けられた野菜と魚を中心にしたランチコース4725円(税込サ別)から御紹介していきます。
・cruvette
ボタン海老とほうずきトマトのタブレ
アミューズは「ボタン海老とほうずきトマトのタブレ」。グラスの下にはボタン海老とクスクス、それにホウズキトマトが入っており、上部には「そら豆のムース」。トップにはオクサリスを添えて。
旬の食材同士が渾然一体となりながら旨味・酸味・滑らかさを、舌の上に無駄なく記憶させていくかのように拡がる味わい。夏バテした心身をリフレッシュしてくれる、夏に相応しいスターターでした。
・foie gras
フォアグラナチュールと加茂茄子のテリーヌ ギリシャの黒オリーブのピュレ
前菜は、じっくりと時間をかけて低温調理したフランス産のフォアグラと、京都人には馴染み深い加茂茄子を使ってテリーヌを合わせた一皿。見た目からして清涼感のあるガラスの皿(加茂茄子の形!)も目を惹きますが、瑞々しさを放つ加茂茄子が実に美しい存在感を演出しています。
この加茂茄子のテリーヌとフォアグラも、動物性と植物性のテイストが互いを受け止めあうかのような相性の良さで、丁寧に調理されたフォアグラの旨味とコクを優しく引き立てています。
もちろん、これだけでも充分すぎるほど大満足な完成度なのですが、ここに添えられたギリシャの黒オリーブをピュレと粉末にしたものと、さらに海老の卵とオイルを足すことで、味わいに深みと塩味が織り交じり、味わいの裾野が一段と広がります。
しかし、フォアグラに海老の卵で風味を加味されるアイデアは、中華料理の経験もあるシェフならでは。ブラボーです。
・suppon
エンペラとキヌガサタケのスープ
続いてはシェフのスペシャリテとも言うべき「すっぽん料理」。すっぽんを2種の調理で供されるのですが、まずはエンペラとキヌガサタケのスープ。これはもう完全に中華料理といった感じですが、丁寧にした処理されたスッポンから抽出した出汁は、ピュアで繊細なテイストになっていて、まるで上質なコンソメスープのよう。
スッポンの身と血の春巻き仕立て
もう一つの春巻きは、スッポンの身と血のノワール仕立てにパートフィロを巻いたもので、ソースはオゼイユと根セロリの2種類と、まさにフランスと中華のコラボレーション的な一皿。どちらも「すっぽん」の真味を活かした見事な完成度です。
次ページでは、
メイン料理~デザートを御紹介します。