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水難事故、海難事故に保険でどう備えるか?

水難事故や海難事故は毎年6月~8月にかけて非常に多く発生しています。夏休みなどのレジャーシーズンを控えて水難事故や海難事故への備えと保険について解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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毎年6~8月は水難事故、海難事故が集中する時期!

毎年6~8月にかけて海や川などでの水難事故が多く発生します(船舶同士の事故も含めて海難事故などとも言いますが、この記事では水難事故という言葉を使います)。

■過去10年の水難事故の概況 
出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

令和元年中の水難事故状況をみると、水難者数は1,538人(うち死者・行方不明者695人)です。前年と比較すると水難者数は+9人(死者・行方不明者+3人)です。過去10年の推移をみてみると、平成22年の水難者数1,802人(死者・行方不明者877人)から減少傾向ではあるものの、毎年700名前後の方が亡くなっていることが分かります(上図参照)。

夏季(6月~8月)に多発する水難事故(海難事故)についての備えと保険について解説します。
 

水難事故はどこで何をしている時に起こる?

水難事故についてもう少し細かく統計を確認します。令和元年中の水難者の年齢層別の数を見ると子ども(未就学児童~中学生まで)は190人(12.4%)です。逆に65歳以上の高齢者は490人(31.9%)となっています。

水難事故というと夏季のレジャーでの子どもの事故が思い浮かびますし、多いのも事実です。しかし水難事故全体をみた場合、高齢者の割合も高いことを認識しておく必要があります。

■水難者 死者・行方不明者の場所別構成比(令和元年度)
出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

水難事故での死者・行方不明者が多い主な場所は、海が378人(54.4%)、河川225人(32.4%)、用水路57人(8.2%)、湖沼池23人(3.3%)、プール6人(0.9%)です(上図参照)。海や河川が多いのは言うまでもありません。用水路などでも1割程度の人が事故に遭っています。

■水難者 死者・行方不明者の行為別構成比(令和元年度)
出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

出典:警察庁 令和元年における水難の概況より

次に同じ統計を行為別にみてみましょう。魚とり・釣り218人(31.4%)、水遊び60人(8.6%)、水泳47人(6.8%)、作業中38人 (5.5%)、通行中34人(4.9%)などとなっています。レジャーと関係なく作業中や通行中に事故に遭う人もいるので気をつけてください。意外と日常生活の中にも水難事故の危険があることを改めて知ってほしいと思います。

また子どもだけの統計でみた場合、魚とり・釣り、水遊び、水泳中の死者・行方不明者が全体の63.4%になります。子どもについては夏季の時期は特に注意が必要ですから親がこの点をよく頭に入れておくことです。
 

水難事故の備えの第一歩は、危険を認識すること

子どもの場合、海や河川、湖沼池の事故が多いため、泳げない子どもや幼児がいる場合は親や保護者などが目を離さないようにするのは当然です。

それだけではなく、遊泳禁止の場合で泳がない、立ち入らせないなどの指導も必要です。また体調不良や天候悪化などの際も無理をさせないようにしましょう。

思っていたよりも底が深かった、流れが速かったなどで水難事故につながる場合もあります。保護者は子ども以上に危険をよく認識しなければなりません。初めていく海や川ではこうした場所は分からないことも多いでしょうが、標識や看板などの注意喚起情報を確認しておくだけでも違います。
水難事故、海難事故にどう備える?

水難事故、海難事故にどう備える?

警察庁の統計に掲載されている水難の防止対策の留意点は以下の5つです。
  • 危険箇所の把握
  • 的確な状況判断
  • ライフジャケットの活用
  • 遊泳時の安全確保
  • 保護者等の付添い
大人の場合、運転することがなければ水辺のレジャーでは飲酒をする機会もあるでしょう。海や河川などではこうした行為も水難事故につながりやすくなります。

楽しいレジャーにこんなことばかり気にしていたら楽しめないと言われそうですが、事故が起きてからでは取り返しがつきません。危険の認識は頭の片隅においておきましょう。
 

万が一の水難事故・海難事故に保険で備える

海難事故、水難事故には、傷害保険や国内旅行保険の救援者費用などで備えられる

海難事故、水難事故には、傷害保険や国内旅行保険の救援者費用などで備えられる

損害保険では人に付帯する保険の代表に「傷害保険」があります。一般的に傷害保険では例えば、海や川で溺れて死亡してしまった場合(溺死)でも、事故の原因が病気によるものではなく、外来性(事故の原因が被保険者の身体外部からの作用によること)であれば保険金支払いの対象となります。

こんな形で保険のお世話にはなりたくありませんが、溺死というと怪我をイメージしにくいので傷害保険のイメージをもちにくいと思います。もし身内に万が一のことがあった場合、保険金の請求漏れがないようにしておきましょう。

また国内旅行保険などでは「救援者費用」などの付帯も可能です。行方不明になって捜索などが必要になって費用が請求されるケースがあるのは山岳事故などの場合と同様です。

アウトドア系の趣味で海や河川、山などに行く機会の多い人はこうした補償の付帯も検討してみるといいでしょう。夏季は海や河川などの楽しいレジャーが多い季節であると同時に毎年不幸な事故も後を絶ちません。水難事故の危険をよく認識して事前にできる対策は大人がよく確認しておきましょう。

※損害保険会社、保険商品によって補償内容等が異なることがあるので、必ず加入時に確認するようにしてください。

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