都心に近い「第一種低層住居専用地域」
では、そんな「第一種低層住居専用地域」はどのあたりに存在するのだろうか。高度利用を促進する都心部においては、ごく限られた場所にしかない。港区なら、「高輪4丁目」のごくわすがな一画が、文京区なら「本駒込6丁目」大和郷(やまとむら)とよばれるゾーンに。千代田区や中央区には存在しない。渋谷区から城南にかけては徐々に増えていく。まず、渋谷区は日赤通りの一画「広尾3丁目」の一部、ここが最も都心に近い「一低」ではないか。松濤、上原も該当箇所がある。品川区・目黒区はさらに増え、「東五反田5丁目」(池田山)、「東五反田3丁目」(島津山)、「上大崎2丁目」(白金長者丸)、「北品川5丁目」(御殿山)、「北品川6丁目」(八つ山)といった城南五山が、青葉台、上目黒なども対象地域が存在する。
そして、同じ第一種低層住居専用地域でも、建ぺい率容積率が「50%100%」とさらに低いのが、目黒区「下目黒6丁目」である。世田谷区の風致地区(「国分寺崖線」)にある「上野毛2丁目」「尾山台1~2丁目」や大田区「田園調布3丁目」などはさらに低く、40%80%である。
「第一種低層住居専用地域」のマンション
敷地面積に対して、できるだけ多くの売り床をつくって分譲するマンション事業は、第一種低層住居専用地域では割高になるため適しにくいと考えられていた。しかし、容積緩和を活用し、地下階をつくって4層の建物にするケースが出はじめ、徐々にではあるが増えてきた感もある。また、そもそも戸建て住宅が多い同地域では、まとまった大きな土地が出にくいため、規模のメリットをいかした物件が見つけにくいということもある。3階建てだから、エレベーター無しでも良いのではとの思いがしないでもないが、えてして高額になりがちな低層マンションの設備のグレードダウンは逆に受け入れられないとの考えが勝ってしまう。
最近では、「第一種低層住居専用地域」に建つ低層マンションも平均100平米を超えるほどの面積の大きい物件が減ってしまった。築10年程度の贅を尽くした低層マンションがますます貴重な存在になるような気がする。
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