男性の育児休業を取得しやすい環境づくりに取り組む
男性も子育ての役割を分担しやすくなるよう制度づくりが必要
少子化の原因の一つの要因です。企業では、父親も育児休業を取得しやすい制度づくりが求められるようになりました。
1.「パパ・ママ育休プラス」制度を導入
●母親と父親がともに育児休業を取得する場合、「子どもが1歳2か月に達するまで」に延長する制度を導入
父親と母親が取得できる育児休業はそれぞれ1年間(母親の場合、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間)で、取得できる期間は「子が1歳に達するまで」です。
「パパ・ママ育休プラス」とは、その名の通り、母親と父親が協力して育児休業を取得する場合のこと。取得できる期間を「子どもが1歳2か月に達するまで」に延長する制度です。
例えば、母親の育児休業が終わるころに父親が育児休業を取得すれば、母親が職場復帰して大変な時期に、父親が子育てし、母親の負担を軽くすることができますね。男女共同参画を企業が積極的に支援していくのです。
2.一定の場合には、父親の2度目の育児休業も認めなければなりません
従来は、一度育児休業を取得すると、特別な事情がない限り再び育児休業を取得することができませんでした。今回の改正で、子の出生後8週間以内の期間内に父親が育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても、2回目の育児休業の取得を認めなければならなくなりました。産後8週間以内の育児休業取得を支援する制度ですね。
3.労使協定による専業主婦(夫)除外の規定の廃止
改正前は、配偶者が専業主婦(夫)であったり、育児休業中であったりした場合、労使協定によって労働者本人からの育児休業申請を、事業主が拒める制度がありました。改正によってこれが廃止され、すべての父親から、育児休業の申し出があった場合は、認めなければならなくなりました。
育児休業期間中は、雇用保険から「育児休業給付金」の支給
収入補てんには、「育児休業給付金」をフル活用しよう
これらの改正に合わせて、育児休業給付についても所要の改正が行われ、「パパ・ママ育休プラス」により延長された期間も含め、育児休業期間中は、雇用保険の「育児休業給付金」として、育児休業開始時賃金月額の50%が支給されます。実務担当者が必ず押さえておくべき内容です。
仕事と介護の両立支援のため「介護休暇」を導入(平成24年7月1日施行)
●従来の介護休業に加え、介護のための短期の休暇制度、年5日(又は10日)の導入両親や配偶者などの対象家族が要介護状態になったとき、対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算93日までの介護休業を、申し出により認める必要があります。
また、働きながら介護をすることができるよう、本人の申し出によって、短時間勤務制度やフレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなどの措置しなければなりません(介護休業と合わせて93日まで)。
でも実際には、介護期間は場合によっては長期にわたるため、要介護者を日常的に介護する期間に、年次有給休暇や欠勤などで対応している人が多いのが現実です。また、家族の介護・看護のために離職や転職をしている人も多いようです。
そこで法改正により本年、平成24年7月1日から、従来の介護休業に加え、介護のための短期の休暇制度が創設されます。具体的には、要介護の家族の通院の付き添いなどに対応するため、年5日(対象者が2人以上の場合は年10日)の休暇取得の申し出があった場合には、認めなければならなくなります。
育児だけでなく、介護も今後避けて通れない状況となってくることが予想されます。セットでしっかり取組む企業が社内外からの信頼を得られる時代になってきたのですね。
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改正育児・介護休業法が全面施行されます(厚生労働省)
育児・介護休業等に関する規則の規定例(厚生労働省)