労務管理/労務管理に関する法律

育児・介護休業法全面施行、どう対応する?

超少子高齢化社会。この現実を踏まえて、企業はどのように人事制度に取り組む必要があるのでしょうか。今年(平成24年7月1日)、小規模企業にも、育児・介護休業法が全面施行されることになっています。この法令の趣旨をしっかり押さえ、自社に落とし込みをしていきましょう!

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

改正育児・介護休業法全面施行、貴社の取組は?

仕事と家庭の両立支援の仕組みづくりでモチベーションUPを図ろう

仕事と家庭の両立支援の仕組みづくりでモチベーションUPを図ろう

育児休業・介護休業については、「育児・介護休業法」で定められています。皆さんの企業での、ルール化は進んでいるでしょうか。この法令は、今まで次のとおり制度化されてきました。

平成4年に制度化
平成11年に介護休業が制度化
平成17年に子の看護休暇が制度化

一方、法整備は進みましたが企業レベルで見てみると、子育てのため退職をせざるを得ない女性が多いのが現実でしょう。また、男性の育児休業取得も非常に少ない状況です。こうした中、子育て期間中の働き方の見直し、仕事を続けやすい仕組みづくりと父親も子育てができる働き方の実現を目指した「改正育児・介護休業法」が、平成22年6月30日から施行されました。

小規模企業も、本年、平成24年7月1日からは全面施行に!

前記のとおり改正法は、平成22年6月30日から施行済。ただし、小規模企業(常時100人以下)の労働者を雇用する事業主については、次の3つは、平成24年7月1日から施行されます。本記事では、(  )書きしています。

  1. 子育て期の短時間勤務制度
  2. 所定外労働の免除の義務化
  3. 介護休暇制度の創設

わが社は小規模だからまだ取り組みは早い、などと思っていませんか?時代背景による労務管理は、今や企業の責務なのです。今回の記事で、今年7月1日にて全面改正施行されることになった「育児・介護休業法」について、そのポイントを押さえてください。制度の趣旨を理解することで「働きやすい職場環境」を完成させていきたいですね。

「改正育児・介護休業法」の企業実務

■ワーク・ライフバランスに留意した職場環境づくり

子育ては父親と母親の共同作業。母親に集中するのではなく、父親がもっと子育てにかかわる時間を増やすことで、母親の子育ての負担を軽くし、男女とも仕事と家庭の両立が図られますね。改正育児・介護休業法では、男性も女性も、仕事を続けながら子育てや介護ができる環境づくりを目指して、改正が行われました。

両立が図られている(不安が解消される)ことで、仕事にも集中できる環境となります。企業が積極的に環境を整えることで従業員の動機づけを図りましょう。

企業が取組むポイントは、次の3つ

  1. 子育て期間中の働き方の見直し
  2. 父親も子育てができる働き方の実現
  3. 仕事と介護の両立支援
以下で、これらのポイントを解説していきます。

子育て期間中の働き方を見直し、仕事を続けやすい制度導入

短期間勤務制・所定外労働の免除で効率的時間管理をしよう

短期間勤務制・所定外労働の免除で効率的時間管理をしよう

働く女性の育児休業取得率は約9割。一方で育児休業を取らずに退職してしまう女性も少なくありません。「仕事と子育ての両立が難しい」からですね。

また職場復帰後も「子どもの病気で休む」「保育所に子どもを預ける時間と自分の勤務時間の問題」「子育てに対する職場の雰囲気」「体力の問題」など、労務管理上の問題が山積みです。フルタイムの労働時間では、時間的にも体力的にも、子育てと仕事の両立は本当に難かしいことがよくわかります。

そこで、子育て期間中も仕事を続けやすい環境を整備するため、企業では具体的に次の3つに取り組まなければならなくなりました。

1.子育て期の短時間勤務制度を導入する(平成24年7月1日施行)
3歳未満の子どもを養育する労働者からの申し出により「短時間勤務制度(1日原則6時間)」を導入する

1日の勤務時間を短縮することで、子育て期間中も退職等をすることなく、働き続けることができますね。企業としては、職場復帰後も活躍の場を設け、時間の効率化を図った職務設計をするのです。

2.子育て期の所定外労働の免除制度を導入する(平成24年7月1日施行)
3歳未満の子どもを養育する労働者が希望した場合に「所定外労働(残業)免除制度」を導入する

残業や休日出勤などが免除されることで、健康を保ちながら、家庭で育児をする時間を確保することができます。これも効率的な勤務時間設計の契機になります。

3.子の看護休暇の拡充を図る
小学校就学前の子供の看護のため、年5日(又は10日)看護休暇制度を導入

子どもが病気やケガをした場合、休まざるを得ない状況は当然予想されますね。子供が多いほど、更に必要性は高まります。小学校就学前の子どもの看護のために取得できる「子の看護休暇」は、小学校就学前の子どもが1人であれば年5日、2人以上いる場合は年10日まで,、認めなければならなくなっています。

子に予防接種や健康診断を受けさせる目的でも、看護休暇を認めなければなりません。細かい点ですが、確認しておきましょう。

次のページでは、男性の育児休暇の取得について解説しています。
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