正直に申し上げます。「しまった、なんて自分は頭がカタかったんだろう……」と思わせてくれるような、斬新でありながらも普遍性を帯びた紳士靴に、最近なかなかお目に掛かれません。まあ、もともと容姿自体が他の服飾どころか婦人靴やスニーカーに比べても保守性の強いものなので、これは一種のないものねだりではあるのですが、例えば高価なインポートブランドの新作に手を取っても、「なんでこうしちゃったの?」的な進歩と言うより退化を感じたり、靴のデザインが出しゃばり過ぎて履く人の像が全然思い浮かばなかったりすることが、どうも近頃しょっちゅうあるのです。
創造的であるが故の、落ち着きのある表情
HIRO YANAGIMACHI Workshopの新作、フルブローグスタイルを採用したサイドエラスティックシューズです。スクエアトウとバルモラルスタイルのサイドラインが、靴に勇壮なスピード感をもたらします。これと同じ仕様で20万4750円~ (HIRO YANAGIMACHI Workshop TEL:03-6383-1992)
上の靴をアップで捉えてみました。履き口(トップライン)には敢えてブローギングを施さないことが、このモデルに鈍重さとは無縁の躍動感をもたらしています。サイドラインが踵部まで伸び切るバルモラルスタイルは、足長に対して足幅が広めの人に有効な意匠です
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