これ、一体何?

アビー・レザースティック

水牛の角で出来た印鑑? ダッフルコートのボタン? いいえ、これがある種の靴には絶大な威力を発揮するのです。 アビー・レザースティック 6300円(R&D)


今回の記事でご紹介致しますのは上の「棒みたいなもの」です。水牛の角でできていて、大きさも形状も一見、印鑑とかダッフルコートのボタン(トグル。木ではなく水牛の角の方を思い出す方、今ではあまり多くないのかも?)のように見えます。9月に改装オープンした銀座三越のシューズ&バッグリペアコーナーでつい先日見つけ、思わず衝動買いしてしまいました。

それは何を目的にしたものなのか、すぐにピンと来てしまったから! これ、ある種の靴のファンの方には、「こんなのが欲しかった!」と必ずや喜んでいただける必携の逸品なのです。果たしてどんな靴に、どういう時に用いるのか?

コードヴァンの「あの欠点」を緩和させます

レザースティックundefined使い方

コードヴァンの靴に注意していても起こりがちなザラザラや水ぶくれ。アビー・レザースティックこれを緩和させるための道具なのです。ただ、コードヴァンの靴以外でも、用途は色々ありそう!


牛のスムースレザーとは一味もふた味も異なる光沢が魅力のコードヴァン。馬の臀部の革の肉側を削って出てくる面を表面とし、しかも細かい針山のように繊維組織が垂直方向にビッシリ詰まっている状態を半ば無理やり寝かせて鞣すことで、あの得も言われぬ輝きが生まれます(詳しくはこちら)。

その組織構造故に履きジワが大胆に出る一方で、そのシワの一部がザラ付いてしまったり、不意に水に当たった箇所に水ぶくれ状の段差が残ってしまうケースもあるので、その質感に惚れながらも「お手入れの少し面倒なアッパー」との印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

実はこの「アビー・レザースティック」は、そんなコードヴァンのちょっとしたトラブルを緩和させるのに素晴らしい働きをする「棒」なのです。上の写真のようにザラ付きや水ぶくれ状の段差の部分にこれを押しあてて、優しく擦り付けるのを通じて該当箇所の「起きてしまった繊維組織」を再び寝かせ、それらを目立たなくさせるのです。本格的なお手入れを通じて革全体の繊維を寝かし直すほどではないけれど…… と言う時に、これはうってつけ!

大きさや形状も非常に考え抜かれており、靴の様々な面に無理なく押し当てることが可能で、微妙な力の加減も行い易くなっています。また、素材が何せツルツルの水牛の角ですので、靴に傷を付けてしまう心配も皆無です。これと同じ効果を狙ったものとして、海外の一部の靴店では「鹿の骨」等が売られていたりする場合もあるのですが、こちらの方が遥かに使い易く、握り心地も格段に優れています。

これ、コードヴァンのアッパーを主に想定したケア用品のようですが、他にも様々な用途への応用が可能な商品だと思います。例えば牛革のスムースレザーの表面にできてしまった軽めの凸凹を整えたり、レザーのアウトソールの底面や側面を均質に慣らしたりなどなど……

価格が少々致しますし(とは言え、シューホーン等水牛の角製品で有名なイギリスの老舗メーカー「アビーホーンワークス」社のものですので、この価格は当然)、また取り扱われている店舗も限られているようですが、一つあると絶対に重宝しますので、コードヴァンの靴が大好きな方はもちろん、その素材に特段の興味はないけれど靴のお手入れ自体は大好きな方も、見つけたら買っておいて決して損はしませんよ!

【商品データ】
アビー・レザースティック
サイズ:長さ…約84mm 最大径…約17mm
(天然のものなので、形状・寸法・色合いには個体差があります)
価格:6300円

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