コーチング/コーチング基本知識

質問上手な人が仕事ができる理由(2ページ目)

部下やメンバーのパフォーマンスを上げるには、ちょっとした質問の仕方に工夫があります。そのコツをご紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド


 ケース1「なぜ」が浮かんだら一度立ち止まる

質問

投げかけている質問を見直す

 自分に対しても、相手に対しても、「なぜ」で始まる質問を相手に聞こうとしたら、ちょっと待ってください。あなたは何のためにそれを聞きたいのですか? 

例えば、上司から会社の方針変更を伝えられ、あなたの頭に「なぜ?」が浮かんだとします。もしもう少しそのことを探求したいなら、そのまま続けるのがいいでしょう。

「なぜこのタイミングで変更するのか?」
「そこにはどんな背景や目的があるのか?」

思考が深まれば効果的な行動につながることでしょう。

でも、もし次のような批判の気持ちが含まれているなら他の質問を考えてみましょう。

「ここまでがんばってきたのになぜ...」
「なんで私がこれをする必要があるのか」

これは答えを探す質問ではなく、会社や上司、もしくは状況の否定や批判となり、あなただけでなく、あなたの周りのモチベーションやパフォーマンスも下げてしまいます。この種の「なぜ」が浮かんだら、質問を変えるチャンスです。

変える方法は2つ。1つはさきほど紹介した質問のスタンスを変えることです。「批判者」や「被害者」、「フォロワー」のスタンスを捨て、「学習者」、「主体者」そして「リーダー」の視点を選ぶことです。同じなぜでも探求の「なぜ」、未来につながる「なぜ」が浮かんでくるはずです。

もう一つは、質問自体を変える方法です。具体的には「なぜ」の代わりに「何」か、「どのように」を使います。

「この変更で具体的に何か変わるだろうか?」
「どのようにこの変更に対応すればいいだろうか?」
「この変更が生み出すメリットは何だろうか?」

もちろんこのときにもただ「何」「どのように」を使うだけでなく、質問のスタンスを選ぶことが重要です。

ケース2 行き詰まりを打破する

行動が起きない、気持ちばかりがあせる、そんな行き詰まりを打破するには、どんな質問の仕方がいいのでしょうか。たとえば、とにかく忙しいのに全く何から手を付けたらいいのかわからない場合、次のような具体化の質問が有効です。

「まず始められることはなんだろう?」
「具体的に何が忙しさの原因だろう?」

具体化の質問は漠然とした状況を見えやすくなり、行動を起こすヒントを見つけることができます。

逆に、あれもこれもしたい、とやることが多すぎる場合は、次のような視野を質問が効果的です。

「そもそもこのプロジェクトの目的は何だったか?」
「会社やチーム全体の優先順位はなんだろうか?」

全体のイメージを持つことを促したり、そもそもの目的や優先順位を明らかにすることで行動を促進することができます。

質問上手があなたと周りのパフォーマンスを変える!

あなたは今日起きてから、どのような質問をしたでしょうか?
その質問はあなたのパフォーマンスを上げましたか?
その質問はあなたの目の前の人にポジティブな影響を与えましたか?

質問の仕方を変えるだけで、あなたとあなたの周りの人たちのモチベーションは高まり、「できる人」を増やします。質問を強力なマネジメントツールにしてあなたが関わる人のパフォーマンス向上に役立ててください。


<参考文献>
すべては「前向き質問」でうまくいく
マリリーG・アダムス 著 ディスカヴァー 刊



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