試験直前にやる気が出ない……「現実逃避」に夢中になるのはなぜ?
追い込みの時期なのに、他の事が気になって仕方がないのはなぜ?
試験は今までの勉強の成果が試されるものですから、直前にあせっても遅いのですが、この時期に何気なくノートを開いて復習したことが出題されることもあり、直前勉強の効果も意外にあなどれないものがあります。
とはいえ試験日が近付くほど、なぜかやる気が起こらず、勉強に身が入らなくなる人は多いもの。そして、ずっと読んでいなかった漫画本を読破したり、使っていないゲームにはまりだしたりと、勉強以外の何かに夢中になってしまう人も多いものです。
ではこのように、本番直前に「現実逃避」にはまってしまうのは、どうしてなのでしょう?
試験直前の現実逃避は、ストレスから心を守る防衛機制が働くから
試験前にゲームにはまるのは、自分の心を守るためだったのです
試験直前には、「何が出題されるんだろう?」「合格できなかったらどうしよう」「今さら勉強しても遅いだろうか」などと、たくさんの不安や葛藤、焦燥感が渦巻きます。そんななかでさらに試験のことばかり考えていると、心はストレスに耐えきれず、危機状態になるリスクが高まります。
こうしたリスクを回避するため、人は無自覚のうちに試験以外の「何か」に意識を向け、心の安定性が崩壊するのを防ごうとするのです。今までわき目も振らずに勉強ばかりしてきた人が、試験直前に急に漫画本やゲームに夢中になってしまうのは、このためだと考えられます。
もちろん試験直前だけでなく、緊張やあせりの気持ちが高まっていくときに、現実逃避を経験した方は多いのではないでしょうか? たとえば私は大学時代、卒業論文の締め切り直前になぜかやったこともない「レース編み」にはまり、大型のテーブルセンターを完成させたことがあります。自分の趣味とまったく異なるレース編みの大作を手にして、「この忙しい時期に、何でこんな物を作ってしまったのか」と呆然としたのを覚えています(苦笑)。
試験直前の現実逃避は否定せず、まずは受け入れる
現実逃避をするのは、自分が弱いからではない
しかし、そもそも現実逃避という防衛機制は、心の安定を守るための健康な反応なのです。したがって、むしろ「現実逃避したのは、心が健康な証拠!」と自分をほめてあげてもいいくらいです。
とはいえ現実逃避を続けても、勉強は一向に進みません。そして、試験に失敗して不合格になると自信はくじかれ、激しく後悔してしまうでしょう。そのため、現実逃避をしたくなった時には、その行動にはまりすぎないための工夫をする必要があります。
現実逃避に気分転換を加えて「試験直前にやる気が出ない」を回避
ちょっと外の空気を吸うだけで気分は変わる
とはいえ、予定通りにすんなりと現実に戻れる人ばかりではないはずです。「あの話の続きはどうなるんだろう?」「あと少しでクリアなんだけどな」といった気持ちが募り、さらに勉強に集中できなくなってしまうかもしれません。そして、気がつけば漫画やゲームにだらだらと戻り、気がつけば何時間も浪費してしまうことになるかもしれません。
これを防ぐために、現実逃避の行動を終了した直後には、他の短い効果的な「気分転換」を加えるという方法があります。たとえば、外に出て新鮮な空気を吸う、シャワーを浴びる、外を走ってくる、コーヒーを飲む、というように短い時間で気分が楽になる気分転換を取り入れてみるのです。また、勉強机からダイニングテーブルというように勉強の場所を変えたり、英語から数学へというように勉強の内容を変えるのもお勧めです。
つまり、「現実逃避」の後すぐに別の効果的な気分転換を取り入れてしまえば、先の現実逃避行動を忘れやすくなります。そして、再び新たな気持ちで、目の前の勉強に気持ちを向けられるようになるでしょう。受験生や学生さんだけでなくどの方でも、目の前の「やるべきこと」のストレスから逃げ出し、現実逃避行動にはまりそうになったときには、ぜひこの方法を試してみてくださいね。
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