免震構造のもうひとつの特長

もし、免震の特長を「地震力の低減」とだけ把握していたなら、それは免震の良さを半分しか理解していないことになる。地盤と建物を絶縁し、あいだに組み込んだアイソレータ(積層ゴムなど)が変形することで地震のエネルギーを吸収する免震構造は、免震ピット上部の耐震強度を一般的な耐震構造よりも緩和して計算することができる。つまり、柱や梁を細くしたり、中高層建物を壁式構造で建てることが可能なのだ。したがってスリムな外観デザインやすっきりとしたインテリアコーディネイトのしやすい住空間が実現するのである。具体例として、下の画像で解説してみよう。
ル・コルビュジェ設計の「国立西洋美術館」

ル・コルビュジェ設計の「国立西洋美術館」

これは世界的に著名な建築家ル・コルビュジェ設計の国立西洋美術館(上野)である。旧耐震のこの建物は耐震補強をするにあたり、ある問題を抱えた。というのも、通常このようなピロティのある建物の耐震補強を考えるときは、柱と柱の間に耐震壁を増設するのが定石。だが、それではこのル・コルビュジェ設計の最大の特徴ともいえる連続した柱のデザインを失ってしまう。

そこで地下部分に免震装置を入れ、建物そのものを地盤から切り離すことで地上部のデザインをそのままに耐震化を果たした。ちなみに、美術館の前庭にある彫刻展示物もすべて免震台の上。最先端の構造技術が、芸術保護など幅広い分野で応用されているのがわかると同時に「激しく揺れにくい」ことがデザイン的選択の余地をいかに広げるか、ご理解いただけただろうか。

マンションにも革新的なデザインが…

さて、免震レトロフィット(既存建物の免震化)の例をご紹介したのだが、新築でも考え方は同じ。ましてや新たに建てる場合は、なおさらその利点をいかして、一般的な耐震構造では実現できないようなデザイン性に富んだ設計を試みる場合がある。これも免震マンションならではのひとつの見どころといってよかろう。

例えば下の画像は、13階建てにもかかわらず壁式構造を採用した「桜プレイス」の外観パースである。ふつうなら13階建てともなれば、柱と梁が開口部の周囲を覆うように塞いでしまうものだが、免震の利点をいかして通常5階程度が限界とされる壁式構造を選択できた。おかげで柱梁のないシャープで美しい外観と外から見ても開放感がイメージできる気持ちの良い住空間が生まれた。
「桜プレイス」外観パース

「桜プレイス」外観パース

さて、それでは「地震に強くデザイン性に優れた免震マンション10棟」をご紹介しよう。物件のコメントには、積層ゴムの製造メーカーとともに、特別なノウハウが求められる免震建築を考慮して、設計、施工会社も併記した。新規供給ベースで5%にも満たない免震マンションの希少性を感じながらじっくりとご覧いただきたい。