榮太樓總本鋪 (えいたろうそうほんぽ)
150年以上前に屋台ではじめた「きんつば」に、初代の考案した香ばしい「梅ぼ志飴(うめぼしあめ)」。日本橋の「榮太樓總本鋪(えいたろうそうほんぽ)」には、語り継ぎたい江戸の菓子がいくつもあります。
「榮太樓總本鋪」の工場を訪ねる
1857年創業の「榮太樓總本鋪」。前身の屋台店が、孝行息子の作る安くて美味しい「栄太郎(初代の幼名)の金鍔(きんつば)の店」として、江戸っ子に愛されたことから付いた店名です。歴史あるお菓子の製造現場を見たくなり、調布(2013年に八王子みなみ野へ移転。)の工場へお邪魔してきました。
「名代 金鍔(なだい きんつば)」は、こう作る
創業以来の同店の代表銘菓、「名代 金鍔(なだい きんつば)」。
中が透けるほどに薄い皮を割り、口に運ぶとつぶし餡の深い旨味がじんわり。それを引き立てるように、香ばしいごまの香りがふわりと立ちます。
いたずらに砂糖を控えることはしない同店の餡。小豆餡の旨味と香りは、砂糖の甘さと香ばしさにより引き出される部分が大きいものです。時代の流れとともに、砂糖を控えた淡白な餡が増える中、同店では、小豆餡本来の深い味わいが楽しめます。
ところで、今でこそ「きんつば」と言えば、寒天で固めた餡を四角く切り、ゆるい小麦粉生地を付けながら、鉄板などで六面を焼くものが主流ですが、そもそもは刀の鍔(つば)にちなむ名。丸い形が元祖です。
「名代 金鍔」は、小指の先ほどの生地で、その20倍量もの粒餡を包んで黒ごまをのせ、ごま油で刀のつばの形に焼き上げたもの。150年以上もの間、受け継がれてきた技です。
焼き立て熱々を試食させて頂くと、まだ餡が柔らかく、特に底部分の生地の香ばしさが際立ち格別の味わい。手包みの焼き立てきんつばは、日本橋本店でも楽しめます。