ソニーと同じ轍を踏んだ任天堂
任天堂はライバルであるソニーと同じ失敗を犯してしまった。
任天堂は、ソニーが圧倒的にシェアを握っていた据え置き型のゲーム機市場で、次世代ゲーム機『PS3』を投入した際に価格で大きな失敗を犯したのを目の当たりにしてきただけに、ライバル企業と同じ失敗だけは避けたかったはずです。
ただ、頭ではわかっていてもライバル企業と全く同じトラップにかかってしまったのです。
この新製品の戦略的価格設定で成功を納めている企業といえば、まずアップルが思い浮かびます。アップルはほぼ毎年機能がアップした新製品を投入して自社製品の計画的陳腐化を図っていますが、価格は機能が向上しても同じかそれ以下にするというペネトレーションプライシングで成功を収めているのです。
新製品を開発する際に新しい機能をどんどん付加して魅力的な製品に仕上げれば少々価格が高くても仕方がないと考えるのは企業側の論理です。顧客にしてみれば、価格が上がった分の価値を新たに付加された機能に感じなければ購入を躊躇してしまうことは当然の結果といえるでしょう。
任天堂が抱える今後の課題とは?
任天堂の今後の課題として、まずは値下げによって販売台数を大幅に伸ばし、規模の経済を働かせてコスト削減に努め、早期にゲーム機本体の赤字を解消すること、そして次にキラーソフトを矢継ぎ早に投入してハードの魅力を増すと同時にソフトでも収益を上げる体制を整えることが挙げられるでしょう。
急成長を続ける携帯やスマートフォンの無料ゲームも大きな脅威ですが、最大のライバルであるソニーも次世代の高機能な携帯型ゲーム機を今年のクリスマス商戦までには市場に投入してきます。このようにゲーム機を取り巻く環境が激しく変化する中で、任天堂は今後も難しい舵取りを迫られることは間違いないでしょう。