ハイパフォーマーへの執着が強すぎていませんか?
「ほどほど」ではいられないのが執着性性格
たとえば、「最後まで完璧にやり遂げなければならない」と思いこみ、他人の力を借りて負担を減らしたり、適当に手を抜いたりすることができない性格の人がいます。こうした性格を「執着性性格」といいます。
この性格は、「責任感が強くて真面目」という好ましい面ばかりが評価されがちですが、過労リスクや柔軟性の乏しさ、成績や競争にこだわりすぎて精神的に不安定になりやすい、といった負の側面もあるのです。
カウンセリングでこのタイプの人に会うと、ハイパフォーマーでいることへの執着が強い人が多いことに気づきます。さらに、「ほどほどでいい」という考えを持った経験がなく、頑張り続けていないと自分の立場が不安になってしまう人も非常に多いことに気づきます。
そのバックグラウンドには、子どもの頃から「目立つ子」や「成績のよい子」でないと注目されないという思い、常に他人との競争の中で育ってきた経験、などが関係しているケースもあります。
コミュニケーション力が育っていないことも
断れるのもコミュニケーション力があってこそ
たとえば、内心「これ以上無理かも」という思いがあるのに、その気持ちを伝えられず、「やるしかない」と思いこんでつい引き受けてしまうケース。素直な気持ちを伝えていれば、負担を減らしてくれるかもしれないのに、気持ちを伝えられないあまりに負担を背負いこんでしまうのです。
「ここまではなんとか頑張りますが、終わったら少し休ませてほしい」というように、調整や交渉をすることが仕事量をコントロールするコツなのですが、この条件提示や交渉を行うには、ある程度のコミュニケーション力が必要になります。その力がないと相手の懐に近づいて交渉を行うことができず、結局は自分ばかりが抱えて疲弊してしまうことになります。
大切なのは「小さな心がけ」の積み重ね
「自分を追い込まないクセ」を意識して身につけていこう
さらには次のようなことを意識して、「自分を追い込まない」という新たなクセをつけていくことも大事です。
(1) 「頑張りすぎて体を壊したら元も子もない。だから苦しすぎないペースでやればいい」と自分に言い聞かせる。
(2) 実績にこだわらず、「ありのままの自分」を認めてくれる人との関係を大切に築いていく。
(3) 「ここまではできるが、ここからはムリ」というように、自分の気持ちを伝えて交渉する。
こうした意識を持っていれば、限界を超えてまで仕事を引き受け、疲弊することは少なくなります。あなたにとって「いちばん大切なこと」は何か、まずは考えることから始めてみませんか?