少子高齢化で、昭和50~60年代に逆戻りする住宅地図
35歳の人がこれから住宅を買って、定年を目前にして老後の暮らしを考え始める20年後、また、その人が後期高齢者となる40年後、平均寿命約90歳(女性の場合)をまっとうする60年後の東京圏をはじめとする大都市圏の住宅地図は、私たち日本人がかつて歩んできた1950~60年代の住宅立地に逆戻りすることが予想されます。1950~60年代の住宅立地に逆戻りするということは、バブル時には60~70キロ圏まで拡大した東京圏の住宅地が、60年後には都心から20~30キロ圏程度に縮小してしまうのです。
そう予想できる理由は3つあります。
東京圏の住宅地が都心20~30キロ圏内に縮小する理由
その1:人口の減少
1つ目は人口減少です。これから約20年後、2030年の人口は1億1,834万7,000人。これは1960年代後半の人口にほぼ匹敵します。ちなみに1966年に日本の人口は1億人を突破しました。また、約40年後の2055年には9,777万5,000人へと更に人口は減少することが予想されています。これは東京オリンピックが開催された1964年の9,718万6,000人の人口規模にほぼ匹敵します。
そして、約60年後2070年には8,251万人へと更に人口は減少し、ついに1950年の8,411万人の水準にまで人口規模は縮小していきます。(人口問題研究所および国土交通省のデータ)。
かつて人口増加、東京圏への人口集中、それに伴う住宅不足の解消のために住宅地が郊外へむけて60~70キロ圏へと拡大し、職住分離となりました。ところが、これからの人口減少に伴い住宅余りが増え、住宅地は徐々に都心回帰します。
これから60年かけて、都心から60~70キロ圏まで広がった住宅地が、20キロ圏内、遠くても30キロ圏内へと都心に向けて縮小していき、職住近接が可能となります。これまでドーナッツ型だった住宅地が逆ドーナッツ型へと変貌することになるのです。
2つ目の理由である「産業構造の変化」については、次のページでご説明します。