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自分のトレイルランニングコースを作ってみよう(2ページ目)

トレランにいい季節。でもいつまでもお仕着せのコースではなく、自分が興味がある山を巡るコースプランを作って走ってみませんか。コース設定の基本は「安全」。そこを外さないコースプランの立て方を。また、東京マラソン財団のイベント第一弾「ファンラン for 東日本」もご紹介します。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

「使える山情報」を鵜呑みにしない
ネットなどに、「(サービスエリア外の)どこの山で使えた」というような情報が乗っていたりしますが、これもその山で限られた条件下で使えたと理解する必要があります。
まずその山の山域全体で使えるということはありません。下界が見下ろせるわずかなポイントで使えたと理解すべきです。実際に山頂にあっても1m移動しただけで通信できたりできなかったりします。
以上のようなことを前提にしても高速道路や主要か移動、鉄道を見下ろせる尾根や山頂だと通信できる可能性が高まるということであり、それだけ救援を要請する非常事態が生じた場合に有利に事を運べるということになります。
万一、救援を要請しなければならないときは、麓が見下ろせる場所に移動して電話をかけるようにします。
本題からやや離れますが、通信が不通の山間部を移動しているときには、電話は電波を求めて働き電力を消費します。その時にはかかってきてもどちみち受信はできないわけですから、ムダに電力を消耗しないように電源はオフにしておきます。尾根に出たら電源をオンにしてください。出発前に満充電しておくことはもちろんです。

docomoサービスエリア

auサービスエリア

SoftBankサービスエリア

尾根コースはエスケープルートがたくさんある
街道や鉄道に添った尾根コースがすぐれている理由の二つ目にエスケープルートが取りやすいということがあります。
昔の人は尾根を隔てた集落との行き来に峠越えをしました。尾根は山頂と峠(鞍部)が繰り返されるわけですが、尾根を超えるのに便利なのは峠道です。この峠道を下ればほぼ間違いなく、駅やバス停からそう遠くない人里に出られます。麓から峠へ向かってかなり奥まで人家があることも多いです。
故障を生じたときはもちろん、その時の調子や経過時間との兼ね合いで予定よりも手前で山から下りたいときに、尾根道ですとほぼ等間隔のように峠がありそこから下山できるし、人家や駅までの距離も短いので柔軟に対処できるわけです。
これが、鉄道はもちろん、街道もないような山奥のコースですと、峠道が少ないですし、あっても谷に下ってから相当下流に下らないと人里もないということになります。中間点まで進んで疲労が高まっても、戻っても進んでも同じように時間がかかる、下ったらなおさら距離が長くなるというようなこともありえます。

山奥から街に向かう
コースを設定する場合に、忘れてならないことはそこを走っている自分をイメージすることです。この坂は走れそうもないから歩くようだろうとか、大休止はこのあたりかなとか、このあたりから疲れを感じ始めるだろうとか、もし何時頃までにこの峠を通過できないときにはそこから下山しようとか…。
想定外のことが生じるのが世の常ですが、なるべく想定できていたほうが安全です。何も想定せずに山に突入するのは最悪です。いろいろな想定をしてもらいたいと思います。
その中で忘れそうなのが疲労の発生です。誰でも最初は元気で、途中調子が出てくるかも知れませんが、長い時間体を動かし続けていれば次第に疲労してきます。
登山の遭難でもそうなんですが、事故は疲労時に多くなっています。転倒、コースの見失い等。トレランでは脱水症や熱中症も心配されます。
転倒は爪先をひっかけたり、すべったり、捻挫したりということが多いですが、いずれも疲れてきてから生じやすくなります。踏ん張れなくなったり、動作が緩慢になってくるのです。道路の転倒ならすりむくぐらいで済んでも、山での転倒は場所によっては転落、死亡事故につながります。
道迷いも疲労してからが多くなります。疲労で判断力がにぶくなるためだと思います。トレランは軽装備で実行することが多いので、道に迷って時間を浪費し明るい内に人里に出てこられないようなことになると、ダメージも大きくなるおそれがあります。

後半により安全に下山できる設定に
鉄道に平行した尾根は絶好のトレランコース

鉄道に平行した尾根は絶好のトレランコース


こうしたことを考え、コースを半分に割って、どちらのほうが安全に下山できるのか、救援を要請しやすいのかを比較します。そして、より安全なほうをフィニッシュにします。
例えば、エスケープルートを頻繁に取れる方、尾根から人家までが近い方をコースの後半に設定します。ハイキングコースなどですと、なるべく楽をしようということで、歩き始めの標高が高い方をスタート地点に低い方を到着地にするのが一般的ですが(実際には標高が高い方が山奥で低い方が開けていることが多いですが)、そうした安全対策上の観点から設定してください。

例えば、図のような場所があるとします。自分の実力からいってA駅とC駅をE山からG山に続く尾根を走るくらいが適当だとしたとき、A駅からC駅に向かうのが良いのかC駅からA駅に向かうのが良いのか、さてどちらだと思いますか?
この図で見た限りではC駅からH峠へ上がり、G山~F峠~E山~D峠と尾根をたどってA駅に下るのが正解です。
その理由は、C駅からA駅に向かったほうが、エスケープルート(F峠からB駅への下り)の分岐F峠が後半に位置するからです。逆コースだとエスケープルートへの分岐F峠を元気な前半に通過してしまうことになります。

しかし、実際にはこの条件だけでは決められません。もしE山がたいへん険しい山だとしたら、距離的には前半にあたっていても、体力がある前半にE山を通過しておきたいところです。そんな細部についての考慮の仕方については次回にご紹介しましょう。

次回は、トレランのコース設定第2回
・危険な岩場、急斜面横断箇所は早めに通過
・いきなり急登するコース設定は不可
・急傾斜を登り緩傾斜を下る
の3点についてご紹介します。

次ページに2011年5月22日(日)に実施された、東京マラソン財団のオフィシャルイベント第1弾、『ファンラン for 東日本「ともに、走ろう!」』の様子をご紹介しています。
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