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知っておきたい東京の地盤と地下水の実態(2ページ目)

立地や眺望で選別されてきた都心のマンション。これまでは地上の情報がすべてだったといえよう。しかし、これからは「地盤の知識」も持ち合わせておきたい。東京の地下を知るにはどんな手立てがあるのだろうか。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

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東京の地盤は今も沈下している?

地下水の水位

地下水の水位

地盤の変動は、あらかじめ定められた地点(「水準基標」という)の東京湾の海面からの高低差で調べる。直近の調査報告書「平成22年7月 水準基標測量成果表」では、水準基標が534点、それぞれに1年前との変動量が記されている。

例えば中央区を見てみよう。水準基標は19点で、平成22年の調査が実施されたのは13点である。そのうち変動量が(+)つまり隆起が11点、(-)沈下が2点だ。隆起の最も大きい数値で6.8mm、沈下の最も大きい数値が2.4mmである。23区をざっと見てみると(-)よりも(+)のほうが多いようだ。東京の地下水は安定しているようである。

この調査をもとにまとめた「平成21年地盤沈下調査報告書 平成22年 東京都土木技術支援・人材育成センター」によれば、東京では「2cm以上沈下した地域はない」としている。さらに1cm以上沈下が認められた地域は東村山市東部と調布市西部の2か所である。

23区の地盤沈下と隆起

1時間ごとの地下水位データが集まる

1時間ごとの地下水位データが集まる

区部における最大沈下量は城東エリアにある地点で0.54mm。最大隆起量は城南エリアにある地点で0.93mmだったとしている。最近の5年間では、2cm以上沈下している地域はなく、10年間で見れば千代田区と渋谷区(都内では清瀬市、東村山市、府中市、調布市も含む)に点在している。

同報告書には、地下水位の経年変化、低地と台地の地盤沈下などが時代の変遷とともに総括されている。区部の地下水位は昭和40年(1965年)以降の相次ぐ揚水規制により水位が急激に上昇したが、近年では上昇がほぼ停止し、かつてのような規制による水位上昇は頭打ちの状況にあるとしている。

最後のまとめでは、その状況を踏まえ「平成6年など過去の渇水年の沈下状況が示すように、地域によっては地盤沈下の進行が予測される」と記している。「地盤沈下は、かつての厳しい状況は脱したとはいえ、過去の渇水年には揚水量が増加し地盤沈下が進行した事例があるため、今後も適切な地下水揚水規制をはかるべきである」。

【公式サイト】
土木技術支援・人材育成センター


次回は「液状化予測マップ」と「東京の地盤」をまとめる。

【関連記事】
東京の液状化予測マップ


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