マンション購入術/マンション情報収集術

不動産の儲けの仕組みを知る6.販売の舞台裏(後編)(2ページ目)

シリーズ不動産会社の儲けの仕組みを知る」6回目は、「販売の舞台裏(後編)」をお届けします。販売が開始され、「登録抽選方式」「先着順方式」で申込→契約の流れをつくった結果、売れ残りの住戸ができてきます。そこで、売れ残ってしまったとき、不動産会社はどのような対策をとるのでしょうか?

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

動員量を増やす=買いやすくする方法

動員量を増やす方法として、代表的なものをご紹介しましょう。まず、一旦、広告を止め、販売を2~3か月にわたり休止します。その上で下記の方法をとります。

・価格引き下げを断行し、広告を再投下する
話題性があるので動員には成功するが、下げ方が不十分だと成約率が売り手が期待したほどには高まらないこともあるので、やる以上は2割、場合によっては3割値下げなど大胆にやる必要があります。また、既契約者にも返金手続きが必要になります。その分、利益は薄くなってしまいます。リーマンショック以降の年度末に在庫を処分するときにこうした値引きが話題になりました。年度末は値引きが一番多い時期です。

・総額5000万円キャンペーンなどの実施
景品として1等300万円の購入資金プレゼント、2等同100万円とか、東京ディズニーランド1泊2日ご招待など、形を変えた値引きも良く使われる方法です。

・家具付きモデルルーム販売、モデルルームの格安販売
本体価格も同時に下げるなどして、お得感を打ちだし、買い手をその気にさせる。ただし、本体価格が高いとあまり効果はありません。

・無利息ローンによる買いやすさを打ち出す広告を実施
所得水準の低い来場者の動員には成功するが、成約率はあまり伸びない。そこで、値引き幅がエスカレートする危険性が売り手側には高くなります。ただし、買い手としては、このような値引きや、金額換算すると決して安くない景品が当たる懸賞などが行われている売れ残りマンションの販売作戦に惑わされてはいけません。あくまでも自分の条件に合った物件や住戸を選ぶようにしましょう。そして選んだ物件がたまたま、値引き等の動員策を実施していたのなら、お得!とその時は喜びましょう。

以上、マンション販売の主な舞台裏をご紹介しました。これを読まれた方は、販売のプロセズごとに、営業マンがどのようなアプローチをしてくるのかが、先読みできるようになります。先が読めるとその分、精神的な余裕が出てきますので、煽られたり、焦ったりせず冷静に、購入の判断ができるようになるはずです。これで、あなたは更に賢い消費者へと成長できたのではないでしょうか。

それでは次回は、マンションの値付けの仕方についてご説明します。ご期待ください。


【関連記事】
不動産の儲けの仕組みを知る1.原価の秘密(前編)
不動産の儲けの仕組みを知る2.原価の秘密(後編)
不動産の儲けの仕組みを知る3.お金の流れ
不動産の儲けの仕組みを知る4.販売の舞台裏(前編)
不動産の儲けの仕組みを知る5.販売の舞台裏(中編)
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