「靴の『底』について考えてみるシリーズ」、前回はメンズのドレスシューズに限らずラバーソール全体の主役になりつつあるものと、開発時とは用いる層が大きく変わってしまったもの等を採り上げました。どちらも時代が推移して行くダイナミズムを感じさせてくれるものですが、今回はそれらとは対照的な動きをしている底材をご紹介致しましょう。すなわち、ちょっと前までは結構見かけたものの、最近はごく一部のメンズシューズにしか装着されないものです。

最近見ないながらも実力は手堅い、男らしいソール!

コルクソール

ニトリルゴムにコルク片(細かい粒状に見える黄色いやつです)を練り込んだ、アメリカ・レッドウィング社の靴に装着されたコルクソールです。耐油性と耐摩耗性に優れグリップ力もなかなかのものですが、重いのが難点

一つ目は「コルクソール」と一般的には呼ばれるもので、その名の通り合成ゴム、厳密には「ニトリルゴム」の中に砕いたコルクを練り込んだ素材を底材としたものです。どうしてコルクを混ぜるかと言えば、ニトリルゴムは耐油性や耐摩耗性に優れた特性を持つものの、単体で底材にすると非常に重たくなるのでそれを少しでも緩和させるのと、コルク片の細かい断面でグリップ力を高めようとした為のようです。後者は寒冷地の車の必需品であるスタッドレスタイヤの発想、すなわちゴムにガラス繊維やクルミの破片等を混ぜたものを原料とするのと似ていますね。

1980年代位までは特にアメリカの、ルックス以上に実用性を重視した紳士靴では結構頻繁に見ることができたラバーソールで、ご覧の写真のようなレッドウィングの極々普通のプレーントウに付いていたものが典型例です。ただ、より軽量かつ高性能な底材が登場し始めると行動範囲が徐々に狭まってしまい、今日では一部のワークブーツに用いられるのみとなってしまっています。確かに一般的な合成底以上に重く、通気性も正直良くないのですが、それに比べて減り辛く長持ちするのも事実で、コルク片の効果なのか表面に凸凹が無い割に雨天時でもグリップが効くので、再び上手く活用されることを願いたいものです。


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