時代の潮流を読んだ、進化形ラバーソール!
「靴の『底』について考えてみるシリーズ」、前回はメンズのドレスシューズの範疇で「ラバーソール」と言われて一番ピンと来ると思われるものをいくつか採り上げました。ダイナイトソールやコマンドソール等、ロングセラーの定番ものとなるとイギリス製のものが多くなってしまうのは、彼の地の地形や複雑な天候、それに慣習を重んじる生活環境等が影響しているのかもしれませんね。その一方、最後に採り上げたイタリア製のビブラムソールも、登山用途が起源だと解る頑固な表情=トレッドパターンが印象的です。ただビブラムと言えば、もはやその種の古典的なラバーソールばかりを作っている会社ではありません。ドレスシューズに用いられるものは地味目のものが多いものの、イタリアのメーカーらしく創造力が極めて旺盛で、新たな需要を予測し革新的な底材を多数作り続けているからこそ、世界中の靴メーカーや修理業者から高い信頼を得ているのでしょう。その代表例が上の写真のような発泡ラバーを用いたソールでして、今回はその辺りからご紹介しましょうか。
要は合成ゴムの中に空気を細かく気泡状に取り込み、スポンジ状に固形化したもので、その結果極めて軽く、柔らかなクッション性を実現した底材になっています。重量は下手をすると、前回までにご紹介したラバーソールの半分程度しかないのでは?
その割には滑り難く、耐久性も案外あるのは流石ビブラム、この種の製品ではブッチギリの実力を見せつけてくれます。日頃レザーソールや一般的なラバーソールに慣れ親しんでいると、ヒールと一体成型の場合が多いこともあり、その形状とソフトさが頼りなげに思う場合もあるものの、EVAやポリウレタン製の軽いミッドソールを装着したスニーカーに慣れ親しんだ方だと、むしろこの種の底材が一番扱い易くかつ実用的なのでは? メーカーはともかくとして、今後まだまだ進化する可能性の高い種類のソールであるのは間違いないでしょう。
次のページでは、独自の立ち位置のラバーソールと言えば?