迫力がさらに増す外羽根式

J.M.ウエストンのフルブローグ
底付けのウェルト(細革)が二重で迫力満点のJ.M.ウエストンの外羽根式フルブローグ。フランスの靴は近年洗練されたイメージがさらに強まっていますが、このような塊り感のある靴も、本来は大変得意なのです。


かたや外羽根式のフルブローグは、顔立ちにいやがうえでも内羽根式以上の迫力が加わります。この辺りになってくるといよいよ、ビジネスユースとカジュアルユースの境界領域に近づいてまいります。職種によっては、黒のものでも仕事用にはちょっと…… と感じる人も出てくるかもしれません。

その意味では、このスタイルは各靴メーカーやブランドのセンスの真価が発揮され、それを誰もが端的にうかがい知ることが出来る靴、と言えるでしょう。適度に「アク抜き」し洗練された雰囲気を加味して仕上げるところもあれば、存在感をストレートに表現するメーカーもあり、見ていて飽きが来ないのです。

この「センス」、小生も含め多くのビジネスマンが大好きな、ある食べ物に喩えられる気がするのです。そう、「とんこつラーメン」とそっくりなんですよね! 見た目あっさりで臭いも全く無い「これって本当に?」と思うものもあれば、店外にまで独特な臭いが立ち込め「これ食べた後に商談はできないぞ!」と覚悟を決めるものまで、とんこつラーメンも色々あるじゃないですか。同様にこの靴も、作り手の哲学次第で雰囲気・用途が激変する傾向が、高いのです。


存在感を活かして履くのがポイント!

フルブローグの履き方の一例
フルブローグをビジネスシーンで履く際は、スーツの生地感も考慮すると、チグハグな印象を与えずにすみます。


前回も申し上げましたが、ブローグと言う種の靴は労働靴起源ですので、フルブローグも一部のものを除き、ビジネス用にスーツと合わせるのは決して間違いではありません。ただセミブローグに比べ、内羽根式であってもよりカジュアルかつ屋外用の印象が加わるので、似合うスーツも多少、変わってまいります。

具体的には、グレンチェックややや大柄のウィンドペーンのような「柄物」との相性が、大変良くなるのです。また無地のものでも、起毛されたフランネルや凹凸のあるホップサックなど、生地の素材感が濃いスーツと合わせても無難に決まります。要はちょっと素朴な表情を持ったものを持ってくれば良いわけです。

逆に、数年前ほどではないにせよ今日でも世間的には人気の高い、「糸の打ち込みの甘さで軽さを追求した生地」のスーツとは、柄物だったらともかく、無地のものとはどうも上手く繋がってまいりません。スーツの生地や仕立てが重量的にも視覚的にも「軽く」なってしまい、視覚的に存在感のあるフルブローグが足元に来ると、お互いが反発し合い見た目のバランスが取りにくくなってしまうのです。

このフルブローグは、むしろスーツ以上にジャケット・トラウザーズスタイルを上手に引き立ててくれる靴のような気もします。ご紹介したいバリエーションもまだまだありますので、その辺りの匙加減につきましては、次回改めてお話致しましょう!



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