長期優良住宅の認定基準
長く良好に暮らせる住宅を普及させるため、制定された「長期優良住宅法」(正式名は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」)。その施行(2009年6月)から1年半が経過した。認定基準には、9つの項目が設定されている。例えば、「耐震性能」なら一般的な耐震基準の1.25倍の等級2以上を。「維持管理・更新の容易性」では最高等級3をクリアしなければならない。性能表示制度の項目以外でも、専有面積は共同住宅であれば、55平米以上でなければならない、としている。
後々振り返ったときに、あれは住宅の優良か否かを性能ごとに明文化した画期的な試みであった、マイホーム選びの見極め方が変わる分岐点になったと評される可能性のある法律だ、とそんな見方も否定はできないと思う。
長期優良住宅を手にするメリット
厳しい認定基準をクリアした長期優良住宅には、さまざまな特典も用意された。住宅ローン控除は、通常の(2011年入居であれば)最高控除額400万円が、長期優良住宅なら600万円まで拡大。長持ちするだけあって「フラット50」(最長50年の返済期間のローン)を利用することも可能だ。
その他にも不動産取得税、登録免許税、固定資産税などの減税メリットも受けられる。法を定め、国が推進する制度だけに恩恵が手厚いのだ。もちろん、認定基準をクリアするにはそれ相応のコストを負担しなければならないということも加味してのことだろう。
認定基準をクリアした分譲マンション
「長期優良住宅法」は公布(2008年12月)から数えれば、すでに2年以上が経った。では、長持ちして減税メリットのある長期優良住宅は、実際どれくらいの数が認定されたのだろうか。なかでも分譲マンションの供給数の伸びはどうなのだろうか。先月末、国土交通省が発表した制度開始からの累計戸数は以下の通り。
■一戸建ての住宅 141,946戸
■共同住宅等 2,814戸
■総戸数 144,760戸
驚きの数字である。認定をクリアした戸数に占める共同住宅のシェアは、わずかに2%。2010年における分譲マンションの供給戸数が8万4,701戸(全国ベース、不動産経済研究所発表)であることからしても、2年で2,814戸はあまりにも少ない数ではないか。
これでは、新築マンションを買おうと思っている人が長期優良住宅の認定を受けた物件を選択肢に入れることはほぼ不可能である、と断言しているようなもの。せっかくの新制度も、これでは利用したくてもできないのが現実だ。画期的な試みに思えた新法は、今後も絵に描いた餅にしか過ぎないのだろうか。