「子どもの成長」と「住宅ローン返済」の期間の差
「新築マンション購入者アンケート調査」(リクルート調べ)によれば、“買った理由”で最も多いのが「家族や子どものために家を持ちたかったから」。毎年不動の1位である。ちょうど第一子が小学校へ入るあたりで意欲的になるようだ。子どもがまだ、母親と同じ布団かあるいは部屋で寝ている時点で、永住するかもしれない家を決めるのは容易なことではでない。例えば、子どもが二人いれば、中学生くらいまでは同部屋を望むが、それ以上になると逆に個室を求めるし、高校を卒業すれば家を出ていくことだって考えられる。住み方が目まぐるしく変わる前に、器の決断を自ら迫ることになるのである。
もちろん、6年間どこの小学校に通うかは大きな関心事だ。いずれは家を出るにしろ、子どもにもプライバシーを確保してやりたい。とはいえ、子どもが仮に社会人まで居たとしても15年~20年程度である。35年の住宅ローンを組んだとするならば、その最大の購入動機は、返済期間の半分程度の時点で、すでにまっとうしてしまうのである。
家族の成長に合わせて「可変性の高い家を」とはいうものの…
最近は長持ちする住宅が良しとされている。条件的には「可変性」といって、リフォームしやすい家が高評価の対象になる。それ自体はわかるのだが、果たして年々成長する家族の変化に応じ、こまめにリフォームすることがあるだろうか。
まれな例はともかく、一般的には設備系の老朽化にともなって、「そのついでに間取りも変えようか」が現実的なところではないか。マンションは住みながらのリフォームは困難である。面倒な住み替えを強いられる改築をそう何度も繰り返す人はいないはずだ。
したがって、マンションを買うなら、子どもが社会人になるくらいまでの15年間くらいは、家族の変化に対応できる(耐えられる?)間取りを求めるべきである。家族4人であれば、夫婦と子どもひとりに独立した居室がいる。つまり最低でも3つは欲しい。