妊娠の基礎知識/妊娠中の不安・疑問

妊娠中に気をつける食べ物・飲み物とは?妊娠中の食事の疑問!

妊娠中に食べたほうがいいもの、食べないほうがいいもの、生もの、カフェイン、アルコール、サプリメント・健康食品など、妊娠中の疑問のなかで、食べ物に関するものも多いです。今回、読者の皆さんから寄せられた「妊娠中の食べ物についての疑問」について、わかりやすく、説明しますね。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

妊娠中に気をつける食べ物とは?疑問を一挙解決!

妊娠初期に気をつける食べ物とは?

妊娠中に食べたほうがいいもの、食べないほうがいいものは?

妊娠中に食べたほうがいいもの、食べないほうがいいもの、生もの、カフェイン、アルコール、サプリメント・健康食品など、妊娠中の疑問のなかで、食べ物に関するものも多いです。今回、読者の皆さんから寄せられた「妊娠中の食べ物についての疑問」について、わかりやすく、説明しますね。  

妊娠中に食べた方がいい食べ物

Q:
・妊娠中に食べた方がいいものはありますか?
・食べたいものだけ食べていても大丈夫でしょうか。

A:
妊娠中の食事はバランスよく摂取できていれば、それほど神経質になる必要はありません。本来は、体が必要とするものを欲するはずなので、食べたいものだけを食べるのでいいはずですが、偏食や過食もあり、現代では適切とはいえないでしょう。

妊娠でまず必要となるのは、筋肉、皮膚などを構成するたんぱく質です。良質なたんぱく性食品である魚、肉、大豆製品には異なった働きをもつ脂肪酸が含まれているので、やはりバランスよく摂ることが大切です。ビタミン、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウムなど)、葉酸、食物繊維も多めに摂るように心がけてください。その一方、脂質、食塩は一般的に摂取量が多めとなる傾向にあるので摂り過ぎないようにしてください。
 

妊娠中に避けたほうがよい食べ物

マグロのお刺身

マグロは食べないほうがいい?

Q:
・魚によっては水銀が入っているから食べないほうがよいと書いてある本もあり、食べてはいけないものがわからないです。
・カフェインや化学調味料などの摂りすぎに注意していますが、他にどんなことを気をつければいいのでしょうか?

A:
最近、魚介類からの水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告が出て、厚生労働省からも「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意」が出されました。ただし、魚介類には赤ちゃんにも必要な、DHAなどの必須脂肪酸が豊富に含まれているので、魚介類を摂ることは必要です。そこで、妊娠中期以降はメチル水銀を比較的多く含むマグロやキンメダイなど大型魚や深海魚を控えて、水銀が少なくDHAを豊富に含むサバやイワシなど小魚中心の摂取が望ましいとされています。

それでも、マグロの刺身であれば1人前を週2回であれば心配ないとされています。また、仮に胎児への影響があるとしても、音を聴いた場合の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れるようになる程度で、将来の社会生活に支障があるような重篤なものではないとされています。

一方、化学調味料や、人工添加物の摂りすぎなどが、良くはないことは常識的にわかるでしょうが、どのくらい摂取すれば、どのような影響が出るということはわかっていません。基本的に、通常の食事であれば神経質になることはないでしょう。
 

葉酸は妊娠中に積極的に摂取すべき?

Q:
・葉酸などのサプリは妊娠中にとるといいと聞きましたが、本当でしょうか?
・葉酸がいいと聞きますが、薬に頼らず食事で補うことはできますか?

A:
妊娠中は葉酸を摂るようにとよく言われますが、その主たる理由は、葉酸が赤ちゃんの脳神経の発達と神経管の形成に関係するからです。日本では二分脊椎などの神経管閉鎖障害という病気が1万人に約3人の割合で出るようですが、葉酸の摂取で発症のリスクが低減すると言われていて、妊娠の可能性のある女性は1日0.48mg(2009年に0.4mgから改定)以上を食物かサプリメントで摂ることが勧められています。「妊娠の可能性のある~」というのは、神経管は妊娠7週(2ヶ月)には形成されるので、妊娠がわかってから服用を始めても間に合わない可能性が高いからです。

なお、薬だけでなく、食事だけで補うことはできると思いますが、研究結果として証明はされていません。なお、葉酸はほうれん草、モロヘイヤ、アスパラなどの野菜やわかめや海苔に含まれています。

>>新たな考え方、葉酸は"妊娠を通して"摂取すべき?
 

妊娠中にカフェイン(お茶、コーヒーなど)は絶対NG?

コーヒー

大好きなコーヒー。我慢しないとダメ?

Q:
・コーヒーなど、カフェインは少しでも摂ってはいけないのでしょうか?(妊娠してから好きなコーヒーや紅茶、お茶が飲めなくなり、ストレスです)

A:
カフェインの入っているコーヒー、紅茶、お茶は、赤ちゃんによくないとも言われ、妊娠後にはコーヒーを一切飲まないようにしている妊婦さんもいると思います。ただし、お茶やコーヒーには気持ちを落ち着かせる効果があるので、不安の多い妊娠中にかえってストレスがたまってしまう逆効果もあるでしょう。

カフェインは、過剰摂取をしなければ、直接胎児の発育や、流早産など妊娠に影響する可能性は少なく、少量であれば許容範囲と考えられています。日常的に飲む程度ならまず心配ないでしょうが、赤ちゃんに影響はないかどうかと不安になったり、寝つきが悪くならないよう、1日に1~2杯くらいにしておくといいでしょう。
 

妊娠中の生もの(生魚、生肉)を食べる際、気をつけるべきは?

Q:
・生魚、生肉、生貝など、生ものはどの程度食べていいのでしょうか?

A:
生もので気になるのは、生魚(刺身)、生肉です。刺身は、水銀に関してはマグロであれば週2回1人前が目安です。感染のことを考えると、食べるのであれば新鮮なものが基本です。

一方、生肉で気になるのは、トキソプラズマです。日本では発症は稀ですが、妊娠中に人畜共通感染性の原虫であるトキソプラズマに初めて感染すると、胎盤を経由して胎児に移行し、先天性トキソプラズマ症といって、水頭症や脈絡網膜炎という目の病気を起こすことがあります。生肉だけでなく、加熱が不十分な豚・羊・牛・鳥、レバーなどにはトキソプラズマの嚢子がひそんでいる可能性があります。

ですから、肉類を十分に加熱しないで食べることはおすすめしません。さらには、生肉にふれたあとは、温水でよく手を洗うようにしてください。
 

妊娠中のアルコールが胎児に与える影響は?

ワイン

たしなみ程度の飲酒もNG?

Q:
・ワイングラス1杯くらいの飲酒は胎児にどれほど影響してしまうのでしょうか?
・妊娠に気づく前に、摂取したタバコやお酒は、胎児の発育に悪影響を及ぼしますか?

A:
アルコールは胎盤から胎児に移行します。妊娠中のアルコール摂取で胎児アルコール症候群(FAS)といって、障害を持った赤ちゃんが生まれるおそれがあります。一般には、子宮内での高濃度のエタノールの暴露によるもので、起こるとしても毎日のアルコール大量摂取の母親から生まれた子どもがほとんど。日本では1万妊娠に1人以下の報告で、たしなみ程度や、ワイングラス1杯くらいの飲酒でFASになることはまずないでしょう。また、妊娠に気づく前に飲み会でたくさんお酒を飲んでしまったという場合も、まず心配はいりません。

ただし、ここまでの量であれば大丈夫という基準はないこと、大人であれば、肝臓でアルコールを解毒できますが、赤ちゃんは大人と違ってその機能が未熟であることから、やはり、妊娠がわかったら禁酒が基本ではあるでしょう。
 

妊娠中のサプリメント・健康食品摂取は効果的?

Q:
・食事の栄養バランスを補うためのサプリメントなどがどれくらい効果的なのか知りたいです。
・カルシウム、葉酸、鉄分などのサプリメントは摂っているのですが、美容系(ハイチオールC、コラーゲンなど)のサプリメントはOKですか?
・健康食品を摂ってもよいものか、気になります。

A:
妊娠中のサプリメントといえば、葉酸が推奨されていることもあり、妊娠中のサプリは日本でもだいぶ身近になってきました。それでも、外国人は妊娠中に何種類ものサプリを摂りますが、日本人はまだ何となく抵抗がある方が多いようです。

妊娠中は、各栄養素に付加量が決められていて、ビタミンやミネラルの一部では、サプリメントを利用することで付加量を比較的簡単に確保することができます。しかし、サプリは特定の栄養素を補給できても多くの成分を補給することはできません。食品は多くの栄養素を含む点でサプリメントに勝っています。

サプリメントを利用する場合の重要な注意事項は、表示をよく見て、過剰摂取にならないようにすることです。

一方、栄養機能以外の健康上の効果が期待されるサプリメント(健康食品)は、注意して利用するようにしましょう。それは個別の商品についての適正の情報がほとんどないからです。
 

妊娠中の食品添加物・化学調味料摂取の影響は?

料理をする女性

食品添加物や化学調味料は赤ちゃんに影響する?

Q:
・食品添加物の影響はありますか?
・化学調味料の摂取は、どのくらい気をつければよいのでしょうか?

A:
食品添加物と化学調味料が胎児に影響するという証拠は現在のところはありません。それは、影響がないという根拠にはなりませんが、妊娠、出産の現場で、何らかの影響を及ぼしただろうと思われた赤ちゃんに遭遇したり、仲間たちから聞いたりしたこともありません。

私たちが日々食べている食品には、多くの添加物や化学調味料が含まれていますが、すべて厚労省から認可を受けたものばかりです。通常の使用で影響がある可能性が示唆されれば、その添加物はすみやかに認可が取り消されるでしょう。ということは、同じ食品を摂りすぎるのでなければ、まず心配ないと考えていいでしょう。また添加物は体内で代謝されますので、健康な人であれば、問題視するほど体に蓄積はしません。ですから、妊娠に気づく前に摂取してしまったものも神経質になることはないでしょう。

 

つわり中の食事はどうすれば?

Q:
・つわりで食事が取れないとき、無理に食べなくても良いのでしょうか?
・つわりで食べれない時期でも、栄養面で食べた方が良い食品は何でしょうか?

A:
つわり中の食事は「食べられるときに、食べられるものを、食べられるだけ食べる」が基本で、栄養面のことはあまり考えなくてもいいでしょう。空腹感が悪心(吐き気)や嘔吐を誘発すると考えられているので、少量で1日に5~6回に分けて食べるのが有効で、夜中にも3~4時間ごとに何か口に入れることが効果的と考えられます。

嘔吐を繰り返すことの脱水を防止するために、水分摂取は大切ですが、大量の水が急に胃を拡張することで、反射的に胃が収縮して嘔気につながることがあるので、氷のかけらを口の中でゆっくり溶かして水分を補給するのもいいでしょう。

それでも食事・飲水ができないときには、無理に食べることで嘔吐を繰り返し全身状態が悪化する場合があるので、入院し、何日間か絶食して点滴をすることで状況は改善してゆきます。

 

妊娠中の食事で子どものアレルギー予防はできる?

赤ちゃんとママ

子どものアレルギーは、妊娠中の食べ物で予防できるの!?

Q:
・妊娠中の食事によって、子どもがアレルギーになりやすい食べ物などはあるのでしょうか?
・子どものアレルギーについて、発生しないように後期には卵、牛乳などの過剰摂取を控えるという主張があるようですが、関係ないとする説が主流のようです。関係ない、ある、両方の理屈を知りたいです。

A:
妊娠中の食事と子どものアレルギーについては関心の高く、今でも妊婦さんが、アトピー対策のために、牛乳や卵を食べないようにしているという話を聞くことがあります。ところが、最近の多くの研究報告から、アトピー性疾患の予防のために、妊娠中にその原因となりうるもの(抗原)を摂取しないことは意味がないことがわかっています。妊婦がすでに食物アレルギーがある場合を除いて、妊娠中と授乳期に特別な食事は必要ありません。

バランスの取れた食事をしていればいいでしょう。逆に、不正確な情報に惑わされて、自己流に食事制限をすることで、栄養のバランスを崩し、おなかの赤ちゃんの発育に影響を及ぼす心配が出てきます。

出産後、授乳期には母親が抗原を除去しても、残念ですが乳児のアトピー性疾患を予防することはできないようです。アレルギーの発生には、食事以外にもさまざまな環境因子が関与しています。スキンケアやダニ・ホコリ対策、禁煙をするなど、基本的な生活環境を整えることも大切です。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます