値下げ販売のタイミングは不況になった翌年度の決算前
このように、黒字倒産とまではいかないまでも、不動産不況期には、需要減、供給過多により、住宅価格の下落が進みます。販売が長期化すればするほど、既に販売している物件については割高感がでてきて商品価値が落ちてくるため、思い切って値引き販売でできるだけ早期完売をめざさなければ事業は大赤字になってしまう懸念が出てきます。そうすると、前述のような水面下で、個別にダンピング販売する程度では、売れ行きのスピードが遅いため、「一斉値下げ販売!」と銘打って、チラシや新聞広告で、値下げを告知し、大量集客、早期完売を企図するデベロッパーが現れます。
この場合、だいたい値引き幅は2~3割程度になります。このマスメディア告知により値引き販売をする際には、既に値引き前の価格で契約した購入者に対しても後追いで値引きを実施することになります。こうして、銀行や建設会社への支払いを滞らせないため、また赤字幅を可能な限り低く抑えるために、見切り値下げが始まるのです。その時期は概ね決算時期である3月を控えた1月後半から2月にかけて見られる減少です。
お金での流れをつかむことでできる有利な交渉
このように、お金の流れをつかむことで、マンションデベロッパーが、現在どのような状況にあるのか、そのために販売上どのような対処をしようとしているのか、が分ってきます。そうすれば、あなたは、マンションデベロッパーの出方を先読みしながら、余裕を持って有利なポジションで、交渉ができるようになってくるのです。それでは、更にマンションデベロッパーのビジネススキームを深掘りして、次回はより詳細な「マンション販売の流れ」について、次々回では「物件の値付けの仕方」についてご説明します。マンション事業の仕組みがここまで分れば、あなたは最強の消費者になれるはずです。
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