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不動産の儲けの仕組みを知る2.原価の秘密(後編)(3ページ目)

シリーズ不動産会社の儲けの仕組みを知る」2回目は、「知って得する原価の秘密 後編」をお届けします。今回は、粗利の中でも相当なウエイトを占めている販売経費の内訳をみていきましょう。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

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マンションビジネスは案外儲からない? 

それでは、不動産会社の利益はどのくらいか、というと、粗利20パーセントの中から、販売経費を除き、更に諸経費を除きますから、結果として利益率は8~10パーセント程度になってしまいます。他の業界で身近なところでは、ファミリーレストランで10パーセント、コンビニで9.5パーセントですから、マンション事業とほぼ同じ水準の利益率であることが分ります。

過当競争にある飲食、サービス業界とほぼ同じ利益率というのは、決して高いとはいえません。ただ、総売り上げで比較すると、ファミリーレストランの年間売上は1億4,400万円、利益1,440万円、コンビニは年間売上2億1,600万円、利益2,160万円です。かたや総戸数100戸・平均価格4,000万円のマンションの売り上げは40億円とケタが違います。

分譲マンション事業は、ハイリスク・ハイリターンビジネス 

したがって、完成までに完売すれば、4億円の利益確保につながりますが、そこにいたるまでには、1.5年間を費やしますので、年間の利益に換算すると、2.6億円となります。他の事業と較べれば、利益絶対額は圧倒的に多いわけです。ただし総戸数の10パーセント、つまり最後の10戸が売れなければ、利益確保にはいたりません。しかも、最後に残る不人気住戸の販売は難易度が高く、販売期間が長期化すると販売経費が当初想定したより多くかかり、利益圧迫につながります。また、値下げして売ろうとすれば、それも利益減少につながるのです。

このように、分譲マンション事業はハイリスク、ハイリターンなビジネスというわけです。特に地価が右肩上がりで、不動産の投資が積極的だった1990年初頭までは、売れ行きリスクも少なく、結構儲かった時期もあったかもしれませんが、現在のように、不動産価格が低下し、需要も減退する市場においては、意外に儲からない、というのが実態かもしれません。


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