チームビルディングとは
チーム創りはリーダーの重要な役割の1つです
チームとは、目的を成し遂げるための集合体。私たちのあらゆる行動の究極的な目的は、幸福の追求です。この目的を果たすために夫婦、家族、学校、職場、地域などがチームとして機能しています。その他、野球やサッカーの選手の集まり、親睦を深めるための社員旅行や町内のお祭りなどのイベントを企画・運営する役員の集まりもチームです。
チームによって事情は異なりますが、通常チームメンバーは様々な組織から様々な経験を持った人たちが集まっていることが多いです。違う会社の人間も参加するプロジェクトチームならなおさらでしょう。
チームの中で、メンバーがお互いに刺激し合ったり助け合ったりすることでメンバーの知識や経験は蓄積され、チームとして強くなりチームとしての成果つまり相乗効果が発揮できます。このように、チームのパワーがメンバー個々のパワーの総和以上になるように導く考え方や手法がチームビルディングです。
同質よりも異質のタイプでメンバー編成をせよ
では、チームのパワーがメンバー個々のパワーの総和以上となるためにはどんなチームを作る必要があるのでしょうか。例えば、“同質のメンバー”が集まったチームと“異質のメンバー”が集まったチームを考えてみましょう。“同質のメンバー”が集まったチームのほうが、一見大きな意見の対立もなさそうで和気あいあいとしたファミリー的で良いチームのように思えます。しかしこうしたチームは立ち上がりが早いのですが、同様の視点からの発想が多くなりがちで、何か議論に活気が出ないと感じたことをあるのではないでしょうか。
ガイドの私は企業内研修などでチーム編成を事前に行います。これを技術として捉えています。同質か異質かは、スキル(技能)以上にパーソナリティー(性格特性)の影響が大きいものです。
この前も大学の授業で実験を試みましたが、性格特性のデータで協調的な守りのチーム、活動的な攻めのチーム、様々なタイプの混成チームに大別しお題目を与え、一定の時間チームごどにディスカッションをし発表させました。
守りのチームはあまり活発な意見交換がなされませんでした。メンバーの特性として、自分から意見を言うのではなく、まずは誰かが意見を言うのを待っているスタンスです。限られた時間内ではパフォーマンスは期待できないものです。
逆に、攻めのチームは立ち上がりが早く、活発に意見交換をするのですが、言いたい放題の感が強くまとまりに欠け、なかなか収束に向かいません。いざ発表になると何も決まっておらず、パニック状態に陥ってしまいました。
混成チームは意見を活発に言うタイプ、聞き役に徹してきちんとまとめるタイプ、時間が経過するとともにそれぞれの役割・収まりどころが決まってきます。最終的な成果も一番パフォーマンスが高いものです。つまり、様々なタイプの人を有機的に編成することがチーム作りのポイントなのです。
最強チームの作り方
能力面と性格面から最適な人選を!
チームは目的達成のための集団。まず第一に、メンバー編成をする際にメンバーとして求められる能力が保有されているかどうかです。リーダーはメンバーを人選する際に目的を達成するために必要な機能を整理して、人材の能力要件を明確化する必要があります。
スキルのみ卓越した人選ではうまくいかないケースは多々あります。プロ野球の例で、年俸が高い卓越した能力の高い選手を並べても優勝できず、逆に、個々の選手の能力は小粒の選手が多いチームが優勝するケースもあります。昨年の日本シリーズを制した千葉ロッテマリーンズも然りです。
重要なのは、チームとして同じ方向を見据え、一丸となっているかどうかが重要なポイントです。こういうことから、強いチームはスキル以上にマインドの統一感、温度差がないことが求められるのです。
チーム・組織の成長プロセス
チーム・組織の成長プロセスは以下の4つの段階を経て、成長していきます。今後の参考にして下さい。■第1段階 Forming(形成期)/チームの結成・様子見のフェーズ
- メンバーのことを十分に理解できていない
- メンバーへの依存度が大きい。「誰かがどうにかするだろう」
- エネルギーはメンバー個人の内側へ向かう
- リーダーは任命されたリーダーであり、メンバーは指示を期待する
- 不安や内向性、緊張感が見られる
■第2段階 Storming(混乱期)/意見のぶつかりあい・個人の主張のフェーズ
- 解決に向けての意見、アイディアの表出が見られる
- メンバーは独立心が芽生える。「私だったらこうするのに」「こうすればいいのに」
- エネルギーはチーム内部の競争に向けられる。力の順位や役割、機能の表出
- 影響力の大きいリーダーが自然発生的に現れる(=強いリーダーシップの発揮)
- ビジョンは曖昧で、共有されていない
■第3段階 Norming(標準期)/個人の役割とチームの決まりごとが明確なフェーズ
- メンバーとしてどのように行動すべきか気付く
- チームのルール(行動規範)が暗黙のうちに築かれる
- ゴール(目標)やメンバーの役割、責任範囲が明確になる
- 「ビジョン」「ルール「仕組み」がチームを拘束する
■第4段階は、Transforming(達成期)/能力の発揮と成果達成のフェーズ
- 問題や課題が解決され、成功体験を共有する
- メンバーに自立心が芽生え、チームに対する帰属意識が高まる
- リーダーシップを発揮する者がリーダーとなり、任命されたリーダーは形式化する
- ビジョンや制度は、メンバーの協働意思によって成立している
- エネルギーは共通のゴールに向かって外に向けられる
- 他者視点に基づいた行動、言動が一般化し、信頼関係が構築されている
チームビルディングとリーダーの役割
チーム編成技術はリーダーの能力要件
リーダーは1人ひとりのメンバーを統率していくので、メンバー以上の高いスキルとマインドが必要です。自分の特定分野の専門能力が卓越していて(=技でリードする)ことのみならず、その目的に対しての当事者意識・問題意識・危機意識を誰よりも強く持ち、メンバーの意識レベルを同じ程度まで持ち上げていき、やる気のある組織を作ることこそ、リーダーの役割であると思います。